昨今のなんでもかんでも Holo 仕様にする流行りについて言いたいことがある
社内向けに書いたものを一部抜粋
TL;DR
トランプの全面ホロはダサい。気がする。とりあえず全面ホロにするのはやめないか。 表現としてどうホロを使うか熟考してくれ。
「昨今のなんでもかんでも Holo 仕様にするやつ」とは
冠省
いつからだろうか。多分 Holo の概念そのものはずっと界隈にあったんだけど、箱の装飾として使われることが多かった。
それまでカードの表情に印刷技術でアクセントをもたせる方法は特色やメタリックインクが主流だった。 僕がトランプにハマる頃には特色はよく使われすぎてて、もはや特色印刷なのかどうかを意識することはほぼなくなっていた。特色印刷のコストに対して、トランプとして得られるリターンが少ないみたいな雰囲気もあり、今はほとんど無いかも。 メタリックインクはちょうど僕がトランプにハマり始めるちょっと前に流行り始めた。2016年くらい? 特色印刷とメタリックインクのメリットは「紙の上にインクがのっている」という状態が普通の印刷と変わらないので、普通のインクで印刷しているカードとハンドリングに大差ないこと。
個人的には正直インクよりも仕上げの薬品のほうが支配的な気がするので、インクの差でハンドリング違うわ〜ってなることがあんまりない。ブラインドテストしてもギリギリ分かるかどうか…くらいの差。どっちが良いとか無いくらいの差。
https://gyazo.com/6cf272f810423a5d74d2e3d9bd5d6d73https://gyazo.com/18fc03302df1297472de3e2e3f018496
Cardistry 界隈を牽引するいくつかの集団から2つの総 Holographic 仕様なカードが発表された。 とくに Holographic Fontaines はマジでアツかった。
当時までの Fontaine Cards はベタ塗り系デザインのカードをめちゃくちゃ流行らせてて、僕にとっては超最先端って感じだった。
ベタ塗りのカラバリを1つ増やすだけで爆発するようにファンが増え、みんな揃って f のロゴが入ったベタ塗りで枠の細いカードを使って Cardistry をしていたように思う。
僕も憧れて人生で初めて USD で買い物をした。
https://gyazo.com/27f4fd751b68ed29b9732fded4a323cf
様々なカラバリがあって、「みんなは何色の Fontaine が好き?」みたいな話題が初対面の Cardist の間では定番の話題なくらいみんなベタ塗りの Fontaine がカッコいいと思ってそうだった。
そこでライティング次第で何色にもなる全面ホロな Holographic Fontaines の登場は革命的だった。
もれなく僕も買った。高かった。
その後様々なブランドが Holo を採用したカードを作った。
メタリックインクで名を馳せていたはずの Cherry Casino シリーズも Holo 仕様が出ていた。
Holo 仕様の重大な欠点
いいところ: かっこいい。実質カラバリ無限。色の到達点。
わるいところ: ハンドリングが悪い。耐久性が低い。歪みがとれない。箔押しされて無い側がダサくなる。
ハンドリングが悪い。マジで。話にならない。
紙の上にインクがのっているわけではなく、箔押しのガイドラインが印刷されていて、その上から箔押し加工がされてそうだった。
紙→インク→箔押し→その上から仕上げ薬品のコーティングという構造のカードになっているように見える。バカほどハンドリングが悪い。
開封直後はそれなりに良い気がするんだけど、ちょっとたつと箔押しの上からコーティングした薬品が剥がれている感じがある。なんなら手につくのでなんか手がヌメヌメする。蝋燭触った後みたいな感じ。全然触りたくない。
あとは箔押しできる印刷会社が裁断してそうで、良いトランプ特有の裁断面になってなくて裁断面がキショい。鳥肌が立つ。全然触りたくない。
フェイス面がダサい
Holographic Fontaines とかは二重に箔押しされていて、キラッキラのベタ塗り相当の箔押しをした上から f のロゴを白で箔押しと同じ要領で載せている気がする。
なんとフェイス面から箔押しした段差を感じる。なんなら影が見える。ありえね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ダサすぎる。
どれくらいダサいかっていうと、田舎のおっさんが白シャツ着てるんだけど乳首透けてるみたいな感じ。知りたくなかった…みたいな。そういえば都会ではあんま見ないな
Holographic Fontaines がそうだったけど、Cherry Casino は違うかも知れねぇと思って買ってみたけど同じようにハンドリングはカスだしフェイス面からバックデザイン透けてるしでカスだった。捨ててないけど。
まぁ発表時めちゃくちゃ期待して、感動して、熱狂した分かなり悲しかった。
その2個以降、ホロ仕様なカードは買ってない。
Holographic 元年の翌年
全面 Holo にしてもかっこいいだけで嬉しさが無いということに人々も気が付き始めていたように思うが、かっこいいので売れていた気がする。
蛇足/ Fontaine は Holo 以降少し狂い始めていて、なんかダサくなった。ベタ塗りを辞めてしまったのだ。悲しい。クラシックな Fontaine は軒並み値上がりしていた。Fontaine は新作を出せばすぐさま Sold Out していたが、在庫が残るようになっていた。主宰の Zack は 2022年冬くらいから病んで 2023年の秋まで引きこもってしまった。 https://gyazo.com/7bf76405d8cdcf14dc000d5fea9318ed vs https://gyazo.com/af569a1be586a7f5bf10b546559446c4
左のベタっぽいやつが好きだったんだけどな
表現としての Holo
というか2022年にはすでに変わってたんだけど僕が Holo アンチすぎて追いかけてなかった。 https://gyazo.com/daf2ea4551d921071ca9e7c64242d2ce
全面ホロではなく、デザインの表現として一部分を箔押しにした仕様だった。じわじわと アンチ Holo の気持ちが揺らいだ。
2023-03 に dealersgrip は Sepal というもう1つのアイコニックなシリーズの Holo 版を発表した。これも全面ホロではなく、デザインの表現として一部分を箔押しにしたものだった。 https://gyazo.com/4186d47d7ad2c16ecb2f6e62055bc713
それまで部分的に Holo を採用したものとは一線を画す画期的なかっこよさだった。
Holo アンチだったので結局リリースのときは買わなかった。
マジでかっこよすぎて、ebay で探して、入札した。 アホほど値上がりしてて、定価の2倍くらいで落札した気がする。50 USD くらい。
マジで良い。ハンドリングのクソこそ無視できないくらいにはそこそこ残っているが、全面ホロよりはマシ。
裁断のクソさも改善されている。
フェイス面にバックデザインが透けるダサさも、1つの表現として許容できるかっこよさがある。
(Holographic Fontaines がダサいと言わなかった各位はバック面の f ロゴがフェイス面に透けてるのをカッコいいと思っていた説があるな〜とおもった。たしかにベーシックなフェイスデザインに f のロゴが透けていれば、フェイスを見ただけで fontaine とわかっておしゃれという説はある。それはそれとしてハンドリングが悪すぎて話にならない。)
そんなこんなで「表現として Holo を取り入れる」ことの良さに気がついてしまった。
不一