コンタクト・ゾーン
メアリー・ルイーズ・プラットの提示した概念。
コンタクト・ゾーンという社会空間(ソーシャル・スペース)は,まったく異なる文化が出会い,衝突し,格闘する場所である。それは,植民地主義や奴隷制度など……しばしば支配と従属という極端な非対称的関係において生じる[Pratt1992:4]。
コンタクト・ゾーンとは,植民地における邂逅の空間である。それは地理的にも歴史的にも分離していた人びとが接触し,継続的な関係を確立する空間である。それは通常,強要,根本的な不平等,そして手に負えない葛藤を巻きこんでいる[Ibid.,p.4]。
田中雅一 『コンタクト・ゾーンの文化人類学へ』
https://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~contactzone/repository/001/tanaka.pdf
人類学における調査対象地としてのフィールドは、まさしくコンタクト・ゾーンであるが、民族誌においてはこのコンタクト・ゾーンとしての特徴は消されることがしばしばある。
谷口陽子は『コンタクト・ゾーンとしての文化人類学的フィールド』という論考で、ジョン・B・コーネルが1950年から1951年にかけて岡山で実施したフィールドワークにおいて作成した民族誌でコンタクト・ゾーンとしての特性が消去されている様を論じている。
https://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~contactzone/repository/003/taniguchi