デジタル・ファブリケーションの基礎知識
デジタル・ファブリケーションツールとは?
コンピュータで設計したデータをもとに、物質を加工することができる装置
もともとは企業が迅速に試作をするために使われていた
Maker MovementやFab Labなどの影響もあり、現在は個人で所有する人も多い
デジタル・ファブリケーションツールの代表例
切削する (Milling)
金属、木材、ケミカルウッドなどを、回転刃で削り取る
例) CNC / MODELA MDX-50
https://www.rolanddg.co.jp/-/media/roland-apac/dgj/images/products/3d/mdx50/features/mdx50setupmd.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=cjtecariig4
例) CNC / KitMill
https://www.originalmind.co.jp/products/uploadimg/bt/bt_top2.jpg
https://www.youtube.com/watch?v=abdI3aXsom8
切断する (Cutting)
木材、樹脂板を、刃やレーザーでカットする
例) レーザーカッター / Trotec
https://www.youtube.com/watch?v=NonCDIkn7xs
https://cdn.instructables.com/F2H/91Y9/IDYPDXH8/F2H91Y9IDYPDXH8.LARGE.jpg
例) ウォータージェット / Sugino
http://www.sugino.com/img/wjpreup2.mp4
http://www.sugino.com/uploaded/image/2690.jpg
印刷する (3D Printing)
マテリアルを積層し、立体物を形成する
造形方法の違いによって3Dプリンタの種類は区別される
3Dプリンタの種類
FDM(Fused Deposition Modeling) / 熱溶解積層法
https://www.youtube.com/watch?v=Ifgqvv1z3m8
糸状(フィラメント)のマテリアルを高温で溶かし、XYZステージ等によって積層する
https://www.youtube.com/watch?v=CwIQAGxiwFY
FDMの3Dプリンタは、デルタ機構が採用されることもある (造形スペースの大型化が図りやすい)
https://www.youtube.com/watch?v=uG-yoiFV85c
長所
2000年代末に特許が消失したため、装置が廉価である
高強度な樹脂が使える
産業用途からホビー用途まで、ニーズに応じて装置が選べる
コストの差は、機械機構の精度、マテリアルの品質、保守サービスの有無など
ホビー用(MakerBot R2X)だと±1mmの誤差があるが、産業用(Dimension 1200)だと±0.25mm程度
短所
積層方向の強度が確保しづらい
糸状の物体を積み重ねるため、積層痕が残ってしまう
展示用のモックアップを作るには、入念な後処理が必要
https://www.youtube.com/watch?v=Jz_s7sJOlMU
SLS (Selective Laser Sintering) / レーザー焼結法
粉状のマテリアル(ナイロン、金属など)をレーザーで焼き固めて積層する
https://youtu.be/O6ChlcBBmj4
長所
ナイロンや金属など強度に特に優れたマテリアルが利用できる
短所
出力したモデルは多孔質のため、汚れが固着しやすく、鏡面処理が難しい
装置が大型・高額なため、個人用途では導入し難い
SLA (Stereolithography) / 光造形
光硬化レジン(液状)をレーザーで固めながら積層する
例) Form2
https://www.youtube.com/watch?v=8a2xNaAkvLo&t=8s
長所
圧倒的に高精細なモデルが出力できる(精度±0.05mm)
短所
(レジンによるが) 造形物は光や衝撃に弱い
後処理(サポート除去、追硬化、レジン清掃など)が手間
https://www.youtube.com/watch?v=caS_Io0vLZo
DLP (Digital Light Processing) / 光造形
LED光源とLCDディスプレイによって安価に光造形を実現
長所
SLAより安価
https://gyazo.com/a11a8ceefc9992b1b96a825a8e3122ec
短所
SLAと同じ
どの3Dプリンタを使うか?
万能の3Dプリンタはない
用途に合わせて装置とマテリアル使い分ける
プロジェクトの規模によっては時間泥棒になることも
さくっとプロトタイプを作るだけなら、手で木を切ったり、ダイソーのケースを使ってもいい
sguruのように便利な接着剤もある
https://www.youtube.com/watch?v=yBv8GPDsJxs
素材と造形法の選定にはプリント代行業者のページが参考になる
例) DMM.make
例) Shapeways.com
3Dデータ共有サイトも参考になる
例) Thingiverse.com
フィギュアやアクセサリーを作りたい
優先順位:精細さ>丈夫さ
SLAやDLP方式
ラジコンのシャーシが作りたい
優先順位:耐衝撃・耐熱
ナイロンやABSを素材に選ぶ
かぶりものが作りたい
優先順位:造形サイズ
造形体積の大きい3Dプリンタを使う
関連用語
ラピッド・プロトタイピング
アイデアの有効性を検証するために迅速に試作すること。デジタル・ファブリケーションツールも良く使われる。
デザイン思考において最も重要なプロセス。
デザイン思考 (Design Thinking)
観察とプロトタイピングによってデザインの確度をあげる方法
新製品開発に効果がある
Make
ガジェットを中心とした、ものづくり愛好家ための雑誌。
米国のオライリー社が2004年に創刊。
日本語版もある。
手芸版 (Craft) もあった
Maker Faire
Makeが主催する、ものづくりファンのためのイベント。
展示とワークショップがメイン。販売もOK。世界中で開催されている。
https://www.youtube.com/watch?v=HIBhEDSVGvk
日本では、東京、大垣、京都(けいはんな)で開催されている。
https://www.youtube.com/watch?v=HOt3d7aBaac
Maker Movement
広義の意味では、2000年以降のDIYカルチャーの復権
狭義の意味では、自作ハードウェアをもとに、あらたなビジネスを興そうとすること
この点については、クリス・アンダーソンの「Makers」にくわしい
Fab Lab
デジタル・ファブリケーションツールを設備した市民工房のこと
MIT Media Labが発祥
創始者 ニール・ガーシェンフェルドのTEDトーク
「自分たちの使うものを、使う人自身がつくる文化の醸成」が目的
デジタル・ファブリケーションツールを使ってみたい
DMM.makeやShapewaysなどの外注サービスを使う
市中の工房を訪れる
Fab Lab
Fab Cafe
ハッカースペース、コ・ワーキングスペースなど
廉価なものを買う (おすすめ)
自作する