義装の装飾者
TDL.icon ホマートンのイザベラ・ロードに住むトーマス・ブランドン(22)は、かつて公園でオレンジの皮に足を滑らせ、右腕が動かなくなるほどの大怪我を負った。怪我からは回復したものの右腕には麻痺が残り思うように動かせない日々が続いた。それでもあまり動かない右腕で父の壁紙装飾の仕事を手伝っていた。 先日、父親のヘンリー・ブランドンが不慮の事故で死亡したために、彼は意を決して右腕の義装手術を受けた。そして壁紙装飾に必要な技術を仮想人格として腕に仕込み独立した。 それは父親の仮想人格によるものかとの質問には、答えは得られなかった。
父の同僚などは麻痺した腕で懸命に仕事をしている彼をあたたかく見守っていたが、義装した彼の姿を見て驚愕した。父の名で加入していた組合は、義装化を理由に退会をせまり、事故死しした父の保険金と年金の支給を止めようとした。しかし、これらはトーマスでなく、夫を亡くした妻に対するものとの認識もあり、支払われることとなった。 父の顧客の中にも同じような考えを持つ者もあったが、以前より知っているトーマスを受け入れており義装化によって仕事も早く精確となったため、かえって忙しくなった面もあった。
機械主義者のパワーズ男爵は、義装の有無による職業差別は認められないとして、麻痺した身体でも義装によって仕事ができるようになれば、多くの人が救われるだろうと、本紙記者に語った。 関連記事
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