恐怖のベッドで男女二人が殺される
先週金曜日に起きた興味深い事件は、周囲の人々を大いに騒がせた。 アクトンのビショップス・レーンに住む街頭音楽家ジョン・ウッドブリッジ (28・John Woodbridge) は、家具職人の妻、フローレンス・フェロード (35・Florence Fellowd) に毎週金曜日に二時間ほどヴァイオリンを教えていた。しかし、最近ではヴァイオリンよりも深い関係になっていたことは周囲では公然の秘密であった。 夫である家具職人のアダム・フェロード (43・Adam Fellowd) は、そんな噂も知らないかのようで、ウッドブリッジに家具を一揃え作り、部屋に運んでいた。事件の起きた前日には、新しいベッドを納めていた。それはとても重厚で頑丈な造りであった。しかも天蓋付きであった。
ヴァイオリンの教習が行われるのは、新しいベッドが置かれた寝室の前にある居間であるはずだった。しかし、妻のフローレンスは、夫の作った新しいベッドが見たいといって寝室へ入った。そこに入るのは初めてのことではなかった。
これまでの古くてきしむベッドではなく、新しいベッドを試したいという思いだったに違いない。この二箇月あまり、フローレンスのヴァイオリンが音を奏でることはなかった。 同じ日の15時頃、ウッドブリッジの隣にすむマリア・スミス夫人(Mrs Maria Smith)は、大きな叫び声を聞いた。その後、何かが崩れる物音が響いた。その尋常でない叫び声を聞いて、スミス夫人はウッドブリッジの家に飛び込んだ。
寝室のベッドを見ると二人の男女の体の上に天蓋が落ちていた。ベッドと天蓋の隙間から血が流れていた。 駆けつけたジョン・メイトランド巡査らによって、ベッドから天蓋が外されると、驚くべき状況が明らかになった。 二人の男女は、ベッドの下から出てきたナイフで体中を刺されており、その一つがウッドブリッジの心臓にまっすぐ刺さっていた。おそらくウッドブリッジはその一撃で即死したと思われると検死官は証言した。
フェロード夫人はナイフによる傷は少ないものの、頭の一部が陥没するほどの打撃を受けており、天蓋につけられた飾りが直撃したと考えられる。この飾りは100ポンドもの重さであった。
現場の状況などから、両者がベッドに入ったときに下からナイフが飛び出し、ウッドブリッジの心臓を刺し、フェロード夫人の身体にも傷を与えた。夫人が叫び声をあげた中で、天蓋が落ちてきて、飾りが夫人の頭部に直撃したと思われる。
すぐにふたりを殺害した容疑で逮捕されたアダム・フェロードは、土曜日に開かれた裁判で証言した。 ベッドの仕掛けは、ウッドブリッジひとりだけでは作動せず、ふたり以上の重さで動くようになっていた。もし妻とウッドブリッジに何もなければ、ふたりは無事であった。
これも妻とウッドブリッジの自らの行為が招いたことだとして、無罪を主張した。
裁判官は、妻の不貞が原因とはいえ、ふたりの死の責任は被告にあるとして20年の懲役刑を宣告した。
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