ブルック・ストリートの医院で出資者で患者のブレシントン氏が殺される
TDLimg.icon 昨夜未明、ブルック・ストリート403の精神科医のパーシー・トレヴェリアン博士の出資者で、患者のブレシントン氏が首を吊るされて殺害されているのが発見された。倫敦警視庁のラナー警部は、自殺の可能性もあるとして慎重に調べた結果、複数の葉巻の吸い殻などから、三人の男が関与していることが分かった。また、この家の給仕をしている少年の姿も見えなくなっている。 パーシー・トレヴェリアン博士は、キングズ・カレッジ病院において、強硬症の研究などで知られている。原因不明の精神障害などの論文で、ブルース・ピンカートン賞を受賞したこともある。
殺されたブレシントン氏は、ブルック・ストリート403に出資者兼患者として、医院の2階に住んでいた。有名な精神科医としてトレヴェリアン博士は、多くの利益をトレヴェリアン氏にもたらしていただろう。
トレヴェリアン博士は、6日、7日と倫敦在住の露西亜貴族だという人物の診察をしている。この二人が事件に関わっているのではと見られている。この露西亜人貴族は、相当な年配の老人で、6日の診察の際には強硬症の発作を起こし、博士が薬を取りに地下の研究室へ行っている間に姿を消してしまった。その患者が翌日も現れ、再び診察を受けることとなった。
前日は、この露西亜人貴族が発作から覚めた後に、診察室を出てしまい、待合室にいた息子も診察が終わったものと思い、医院を後にしたという。結局、この日に診察を済ませて薬を処方したところで、露西亜人貴族は医院を後にした。
入院患者であるブレシントン氏は、この露西亜人貴族の診察中は両日とも散歩に出ていた。ブレシントン氏が戻ってきて自分の部屋が荒らされているのに気がついた時は、露西亜人貴族が帰った後だった。この日、医院を訪れたのは露西亜人貴族だけであった。老人を診察中に息子が部屋に入ったと思われる。ブレシントン氏の部屋には金庫があったが、特に盗まれたものはなかったという。ブレシントン氏は、不審に思い探偵を呼んだが、特に何もわからなかったようだ。ブレシントン氏が死んだのは、その未明である。
倫敦警視庁のラナー警部は露西亜人貴族とその息子、そして姿を見せない給仕の少年を探している。
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