STREET
#街路
STREETは、元来「古代ローマ人のつくった道」(a Roman road)の意味であり、古代ローマ人にとっては「岩や小石を敷いてつくった舗装道路」のことであった。1世紀末から5世紀初めの間がイギリスでは「ローマ・ブリテン時代」と呼ばれているが、この間にローマ軍団はブリタニアを制圧し、内乱や外部民族の攻撃に備えて、各地に軍団の駐屯地を置き、そこには都市を建設し、堅固な石造りの市壁で囲んだ。
そして、これらの都市の間を軍用道路で結んだのである。
Streetという語を含むこれらの軍用道路がやがて舗装道路という一般的な意味で用いられるようにり、「幹線道路」とか「街道」というニュアンスで使われるようになった。
この種の街道として有名なものにウォットリング街道(Watling Street)があるが、この街道名の中にStreetという語の元の用法が残されている。
このStreetも12世紀の半ば頃までには、町の比較的大きな「通り」の意味で用いられるようになったようで、12世紀の古文書に見受けられる。シティのFleet Street, Cannon Street などはその例で、日本人にもよく知られた Oxford Street, Baker Street などはそれぞれ18世紀、19世紀に建設されたものである。
さらに現在では、古い都市の小さな通りも Street という名称を持つことが多く、ロンドンの Clink Street, Mitre Street, Widegate Street などは狭い通りである。
実際後述の Lane や Row との差は全くない場合も非常に多い。
また郊外では Street よりもこれも後述の Road が圧倒的に多く、Avenue とか Gardens などの名称も Street よりも好まれている。
from ロンドン地名由来事典