カスタマーサクセス
カスタマーサクセスとは
やることは名前の通りで、サービス・商品を既に購入している顧客に対し能動的に関わっていくことで、「顧客のサクセス(成功体験)の実現」をする職種です。
ここで重要なのは、「能動的」であるという点。
これがカスタマーサクセスの大きな特徴となります。
例えば、製品やサービスを購入すると、必ずといっていいほどカスタマーサポートセンターへの連絡先・電話番号がどこかに掲載されていた。
しかし、あくまでもそれは顧客の側で不明点や不具合が出た場合のみ。
顧客から問い合わせがあった際に対応を行う、という受動的な接し方でしかありませんでした。
しかし、カスタマーサクセスは違います。
カスタマーサクセスが動くのは顧客から求められたときだけではありません。
普段から顧客に能動的にかかわり、ビジネスがどこへ向かっているのか、そのゴールを把握したうえで、提供しているサービスの効果を発揮させる使い方をガイドします。
さらに、時にはもっと深く、いわばコンサルのように顧客の課題解決に関わっていく場合もある。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
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カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、「取り組む姿勢の違い」「KPIの違い」「必要とする商材・会社の違い」の3点から違いを説明することができます。
①取り組む姿勢の違い
「カスタマーサクセスは能動的に顧客に関わる」が、一方カスタマーサポートは、カスタマーサクセスとは真逆で受動的に顧客に関わる場合が多い。
具体的にやることとしては、電話やチャットを用いた問い合わせ(クレーム)対応、FAQの作成などが挙げられます。
この違いの背景としては、両者の目的の相違があるといえるでしょう。
カスタマーサポートの目的は、主に「顧客の不満や不便の解消によって、顧客満足度を上げること(下げないこと)」です。
ですので、必要以上に顧客に関わる必要はありません。
一方、カスタマーサクセスの目的はあくまで「顧客のサクセス(成功)の実現」をすることです。
ですので必然的に、待ちの姿勢ではなく能動的に様々な支援を行っていく必要があります。
②KPIの違い
カスタマーサクセスは後述する「解約率」「アップセル率・クロスセル率」「顧客満足度・NPS®」などがKPIになるのに対し、カスタマーサポートでは顧客への対応回数や返信時間の短さがKPIになります。
KPIについても、違いの理由は目的の相違によるものだといえます。
カスタマーサポートの場合は、目的が「顧客の不満や不便の解消によって、顧客満足度を上げること(下げないこと)」ですので、どれだけストレスなく、つまり迅速に顧客対応ができるかがカギになります。
また、不満を抱える人の数を減らすことができれば顧客満足度は上がりますので、対応できる人数も多いほうがいいですよね。
一方、カスタマーサクセスの目的は「顧客のサクセス(成功)の実現」ですので、顧客の不満を迅速に解決するだけでは十分とは言えません。
ですから、KPIもカスタマーサポートとは違った目線のものになるのです。
③必要とする商材・会社の違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの3つ目の違いは、必要とする商材・企業の違いです。
カスタマーサポートは基本的にどの企業にも必要な存在といえますが、カスタマーサクセスはどの企業にも必要な存在ではありません。
基本的には、BtoB企業や後述するSaaS(サース:software as a service)企業にのみ所属する役割です。
カスタマーサクセスとThe Model
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『The Model』型の営業とはここ10年ほどで日本に普及した新しい営業手法のことで、営業の全プロセス(顧客の開拓から受注後まで)をマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの4部門に分業化し、それぞれが連携しあうことで営業成果・効率を上げるスタイルのことを指します。
マーケティングは主にリード(=見込み顧客)を獲得する役割を、インサイドセールスは主にリードを案件化する役割を、フィールドセールスは主に案件を受注する役割を担っており、元々営業パーソン一人で行うこともあったこのプロセスを分業化したことが大きな特徴です。
この体制を構築することで、個々がそれぞれの専門性を高められるなど多くのメリットがあります。
そして、この営業プロセスの4つ目を担うのがカスタマーサクセスです。
カスタマーサクセスの役割はフィールドセールスが受注した顧客を能動的に支援していくことであり、通常の営業プロセスの最後に当たる部分を担います。
ですから、営業のように能動的に顧客に関わっていくのは当然です。
すなわち『The Model』から考えれば、カスタマーサクセスとは「営業が分業化された結果生まれた職種」であり、つまり「本来は営業プロセスの一部である」ということができます。
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