フォルケスコーレ
フォルケスコーレとは
フォルケスコーレは1814年に設立され、その時点では、全ての児童生徒に7年間の教育が与えられていた。その科目は、宗教、リーディング、ライティング、算数が主なものであった。以降、数回の教育法改正を経て現在の教育制度となっている。
現在、デンマーク全国のフォルケスコーレに関する基本データによれば、98の自治体に1605校あり、在籍児童総数は551,874人である(2014年統計資料)。1クラスの平均児童生徒数は19.6人、教員当たりの児童生徒数は10.7人となっている。
フォルケスコーレについて、国は学校全体の組織やシステムについて決定していく物としている。
教育内容レベル、標準的教育目標、学校長と組織、学校システムの標準的規則、個別科目の標準的な要件などについては国全体共通のものとなる。
具体的な教育方法、教育実践についてなどのフレームワークの中身については、各自治体が決定権を持っている。
また、各自治体が、学校設立、学校目標、教育提供レベルを決定することができる。
したがって、フォルケスコーレの一般的規則の範囲内であれば、自治体は学校の変更、学校全体のルーティーン、新しい学校の設立などについて、決定権があり、各学校が地域の特性を考慮した教育内容を組み込むことを許可する自由も有している。
各自治体は、公立学校の教育レベルの年間報告を国にする必要がある。また、学校システム、知識レベルなどについて、前年よりさらに評価を高めるための措置を講じているかどうかについての説明義務を負っている。
フォルケスコーレにおけるクラスと教員
フォルケスコーレにおいて教員は、児童生徒個人だけに関わるのではなく、クラスの中で生徒が成長していくためにクラスを組織しなければならない。
児童生徒数は1クラス平均20人で、上限は28人とされている。
フォルケスコーレは試験を目的としていない。児童生徒が同じ世代の者たちと学校に出席・参加するためのものである。ゆえに、不登校というものは、フォルケスコーレにはほとんど存在しない現象となってる。
また、フォルケスコーレ法においれは、親子が同意すれば、設定されている機関にわたって留年することも可能となっている。
デンマーク教育省はフォルケスコーレの学習コンサルタントを自治体から派遣し、児童生徒の教育の質的向上を目指いしている。また、教員及び学校管理者と自治体行政など、行く地下のレベルの始動を提供することになっている。
クラス担任
クラス担任に関しては、デンマークでは学校の伝統であり、歴史的なルーツをもっていると考えられる。クラス担任は、クラスというグループの中で、児童生徒の監督を行い、個々の児童生徒に対する社会的な開発をサポートするという責任を持ている。
担任は、授業やクラス全体のプログラムの推進していく。その中心的な役割は、学校が児童生徒にとっての家庭となるように協力することである。また担任は、クラスに関わる他の教員と協力し、クラスの計画、教育を行い、個々の教育レベルに合わせた学習指導と評価の中心となる。基本的に、デンマーク語の担当教員がクラス担任の役割をすることになっている。
教科・カリキュラム
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義務教育の10年間においては、3領域の学習においてそれxぞれ必修科目が含まれている。
デンマーク語は第二言語とされる生徒については、0学年から9学年の期間に、必要に応じてデンマーク語の授業が提供される。上記に加え、8学年、9学年においては、各学校が教育科目の範囲において他学科の提供が可能となっている。
独立学校群としてのフリスコーレ
教育は親の権利であるという考えのもとに、コルは学校教育制度の変革としてフリスコーレの発展に力を注いだ。
「国家は子供たちから親を引き離してしまった」というコルの言葉に残されているように、教育を作っていくのは国家ではなく、親たちであるという考えがデンマーク教育の基底にはある。
これらの教育の自由は、歴史的には19世紀半ばに流布されたデンマーク民主憲法が出発点となっている。教育を受ける所は、必ずしも学校とは限らないという事が明記された。
この民主憲法の精神に則って制定されたフォルケホイスコーレ法においても、家庭学習を受けている。こどもは学校での教育に参加しなくても良いとされている。
デンマークの私立学校のガイドライン
2000年のPISAの結果を受けてデンマーク教育省は、私立学校の教育内容についても管理していくという方向転換を図った。
自由教育の名のもとに教育内容の自由を容認し続ければ、児童生徒の基礎知識の定着において困難なケースも出てくるという懸案より、デンマーク教育省は2000年、「フリスコーレおよび私立の基礎教育における教育を受ける義務の履行とその監督に関するガイドライン」を制定した。
2000年のPISAへの参加以前は、国際的な競争教育思考への抑制勢力として独立学校群が存在していた。しかし、PISAの結果を受け、デンマーク教育相はグローバリゼーション化に向けて2006年より教育改革を開始した。
2012年のデータによれば、OECD諸国の学校教育費支出のGDP比は、EUの平均5.2%に対して、デンマークは大きく上回る8.5%となっている。
教員一人当たりの児童生徒数も、初等教育(小学校低学年)で11人弱、小学校高学年で13人強、中等部においても20人いかがほとんどである。フリスコーレを含む私立学校への助成金保障や、教育費に投入される公的資金については国際的にもトップクラスである。
それにもかかわらず、PISAの結果において効果が表れていない教育費効率の低さをOECDから指摘されたデンマーク教育省は、対応策として教育改革政策を打ち出していった。そして私立である独立学校群についてガイドラインを制定し、教育内容のレベル維持及び向上を図った。
教育を受ける義務の履行、教育内容レベルの確保、授業の視察義務などをガイドラインとして制定したのである。
私立学校の教育に要求されるのは公立学校と同じ教育内容であるとし、デンマーク教育省に通知したうえで、試験をしないことが認可されている小規模の独立学校の9校以外は試験を検討することが義務化された。
また、私立学校の評価に関する親の要望への対策をすること、児童生徒たちの全体的な教育対策チェックをするための教育省が認定した約300名の監督者である認定スーパーバイザーを保護者会が選択することが義務化された。
それによると、児童生徒の知識が不十分であることが分かった場合は教育省に報告する義務があるとされている。
また親が学校に不満を持っている場合は、以下に上げる三つのことが可能となった。
①別の私立学校、公立学校への転校、あるいは家庭教育に移行すること。
②自治体の公立学校は、入学希望者については常に認めること。
③デンマーク語が不十分で、デンマークでの生活に障害がある児童生徒については、特別な指導者を定めることができる。
デンマーク教育省からの詳細なガイドラインに対応しながらも、独自の教育実践を継続し、児童生徒数も増加傾向にあるのがフリスコーレである。フリスコーレはグルントヴィとクリスティアン・コルの「国家からの教育の自由」を目的として創設されたもので、現在の私立学校の原点となった学校である。フォルケホイスコーレの教育理念を継承し、「生きた言葉と相互作用による対話」を教育内容の根幹としている。最近では、グルントヴィの名前を知らない若い母親たちその教育内容に魅力を抱き、子供を入学させるケースも増えている。 フリスコーレ協会
フリスコーレ協会は1886年に設立されている。その後、デンマーク国内の様々な独立学校とも新たな協会を設立し、現在、独立学校協議会としてデンマーク教育省へ教育政策的な要請を直接行うことが可能となっている。ここでもグルントヴィの連帯や共同体の思想が具現化していると言える。
フリスコーレ協会に掲げられている五つの自由がある。
①理念的自由ーいかなる理念に基づいて学校を設立する自由が国民にある。
②教育的自由ーいかなる教育内容・手法の学校でも設立する自由が国民にある。
③経済的自由ー学校には政府からの補助金をもとに運営する自由がある。
④雇用の自由ー学校は理事会を持ち、雇用する職員は資格や技能を決める自由は理事会にある。
⑤生徒の自由ー生とはどの学校にも入学でき、また学校側には学校方針に合わない生徒の入学を拒否できる自由がある。
生徒の成績評価についても、下記のように明記されている。
・創立当時からカリキュラムや教育内容も学校独自のものであり、国家や協会の指定した教科書を使用することもしなかった。また、原則として試験を課さなかったのは当然であり、現在もその教育方針が継承されている。
・公立学校と私立学校に間に存在する可能性の相違は、歴史的、文化的に条件付けや法律とはなんら関係ない。
・試験をしない資格を法律によって与えられることが、私立学校基本法に明記されている。
・評価サンプルが存在しない学校はリテラシーではなく、他の学校で学生を評価する。