CLIP STUDIO でアニメーションを作成する
概要
CLIP CTUDIO でアニメーションを描く時の知見をまとめる。
環境
iPad Pro (12.9 インチ) (第3世代)
Apple Pencil (第2世代)
iOS 13.4.1
CLIP STUDIO PAIN EX Ver.1.9.13
基本のき
ファイルの作成
CLIP STUDIO はファイルの作成時に「作品の用途」を指定できる。ここに アニメーション があるので、これを選択して新規作成する。
https://gyazo.com/4457fff8205dbad3f05f0aa293f3d862
通常のイラストでは キャンバス のサイズのみを設定するが、アニメーションの場合は 基準サイズ と 作画サイズ の2つを設定する必要がある。また、演出フレーム というものを設定することもできる。
基準サイズ とは、アニメーション再生時に描画される範囲のサイズのこと
作画サイズ とは、絵を描くキャンバスのサイズのこと
実際のアニメーションの描画範囲よりも大きい絵を描くことができる
大きな絵に対してカメラワークを付けてアニメーションするような場合に必要となるが、そうでない場合は必要ない
演出フレーム とは、見切れずに表示される範囲を指定できる設定のこと
例えばテレビの場合、テレビのサイズによっては映像が見切れないように、黒帯などを付与して映像を描画する場合がある。このように、見切れて欲しくない範囲がある場合には利用する
その他にも作品情報などがあるが、一旦は基準サイズ, 作画サイズさえ決めれば良いので、ここでは説明を割愛。
アニメーションの作成
アニメーション用途のファイルを作成すると、アニメーションフォルダー と、その中に アニメーションセル が 1 枚格納された状態でファイルが新規作成される。
https://gyazo.com/59d68a08e3bdbc80ef6c26e1677a38a0
CLIP STUDIO におけるアニメーション作成時に理解しておく必要のある概念がいくつかあるので、ここで列挙しておく。
アニメーションセル (セル)
アニメーション内の 1 コマとなる絵が描画された レイヤー
普段イラストを描いている時のレイヤーと本質的には変わらない
役割がアニメーション内のセルとなったので、呼び名が変わっているだけ (のように見える)
CLIP STUDIO 的には、通常のレイヤーとは異なる扱いになっている様子
新規作成は、メニューの アニメーション > 新規アニメーションセル から行える
レイヤーパレット上のレイヤー新規作成ボタンからは作成できない (通常のレイヤーが作成されてしまう) ので注意
アニメーションフォルダー
アニメーションセル を複数格納、管理できるフォルダー
メニューの アニメーション > アニメーション用新規レイヤー > アニメーションフォルダー から行える
基本的には、アニメーションフォルダーにどんどんアニメーションセル を追加していき、複数のセルを順に表示する = アニメーションを再生する、ような流れになる。
実際にアニメーションを描いていく際には、タイムラインパレット や オニオンスキン機能 がとても役立つ。
タイムラインパレット
CLIP STUDIO には、アニメーション用の機能として タイムラインパレット というものが用意されている。これは、メニューの ウインドウ > タイムライン から開くことができる。このパレット上でアニメーションを組み立てたり、再生したりできる。
タイムライン パレットは以下のようになっている。トラックやセルの追加もパネル上から行える。タイムラインの横軸のメモリは フレーム を表している。青は アニメーション開始/終了位置 を、赤は 選択中のフレーム を表す。アニメーションを再生するときは、選択中のフレームからアニメーションが開始される。フレームを選択した後に、そのフレームの箇所にセルを追加/削除することもできる。
https://gyazo.com/091d8d1feabb58c864a7aa6666d918aa
タイムラインは、複数の トラック から構築されている。このトラックは、レイヤーパレット上のフォルダー構成を反映したもので、例えばアニメーションフォルダーを追加すればトラックが 1 つ増える。複数のセルを組み合わせたアニメーションの構築は、あるトラックに対して、そのトラック内のセルを組み合わせることで行える。
タイムラインパレットの使い方は、以下の連載の 5, 6 が詳しい!
便利な機能
オニオンスキン機能
オニオンスキンを有効化すると、選択したセルの前後のセルを参照しながら絵を描くことができる。アニメーション > アニメーションセル表示 > オニオンスキン設定 から、オニオンスキンの表示数や表示枚数を設定できる。
https://gyazo.com/26fcfb4cda4aca1b51a1da76fba48862
ライトテーブル機能
オニオンスキン機能は複数レイヤー間の差分がみられて便利だけど、単純に特定レイヤーの上に特定レイヤーを載せて透かしてみたい、みたいな要求がある。そのような時には ライトテーブル機能 が利用できる。
ライトテーブル機能を利用したいときは、アニメーションセルパレット を用意すると便利。ウインドウ > アニメーションセル から表示できる。
主な使い方としては、レイヤーパレット上からレイヤーを ライトテーブルレイヤー として登録すると、それを他のアニメーションセルの裏に透かして表示できる、というもの。レイヤーパレット上でレイヤーを選択した状態で、アニメーションパレット上の各種ボタンを押すと、ライトテーブルへの登録/削除ができる。透かす場合の不透明度なども、アニメーションせるパレット上から調節できる。
https://gyazo.com/47f0d648a1f8267af0df21072e8c1b16
また、ライトテーブルの便利機能としては、裏に透かしているレイヤーを動かすことができる というものがある。アニメーションパレット上では、ライトテーブルに登録されているレイヤーがパレット内下部に表示されるのだけれど、ここで動かしたい対象のレイヤーを選択すると、キャンバス上で該当レイヤーを自由に動かすことができるようになる。回転やサイズ変更なども行える。
https://gyazo.com/425f180fda50edbf24cf9c6a52f88cb9
選択範囲ランチャーのカスタマイズ
選択範囲ランチャー とは、選択機能を利用した時に選択範囲の下部に出てくる項目一覧のこと。これは実はカスタマイズすることができる。
https://gyazo.com/624d2ea47eeb02d3accf2b550e6eb167
一番左端のアイコンをタップすることでカスタマイズが可能。アニメーション作業では、あるレイヤーから他のレイヤーに作画内容をコピーしたい ケースが多いと思われるので、コピー, 切り取り, そしてコピー/切り取りした内容を別レイヤーに貼り付ける操作 を登録しておきたい... が、この最後に該当するアクションは CLIP STUDIO にはデフォルトで存在しない!
そのため、これに該当するアクションは自作する必要がある... この自作のための機能として、CLIP STUDIO には オートアクション という機能が存在している。
オートアクションは、複数の作業を記録しておいて、後から1回のアクションでそれら全てを一度に行うことができるようにする 機能である。オートアクションパレットから設定することができて、これは ウインドウ > オートアクション から表示できる。
オートアクションの登録は、記録開始ボタンを押してから何か CLIP STUDIO 上で操作を行うとアクションが記録されていき、止めたいところで記録を止める、という手順で行うことができる。コピー/切り取りした内容を別レイヤーに貼り付けたい場合は、
1. 貼り付け操作を行う (デフォルトで、レイヤーが新規作成されてしまう)
2. 下のレイヤーに転写を行う
3. 新規作成されてしまったレイヤーを削除する
といった手順のオートアクションを作成することで実現できる。
https://gyazo.com/ff5cb9e9a59bb9b20a0cf82415004951
これで、他のレイヤーの内容を別レイヤーにコピー/切り取り貼り付けが簡単にできるようになった!貼り付ける場合、貼り付けるまでの間に選択状態を解除しないよう注意 (解除すると、貼り付けた後の内容を編集できなくなってしまうため)。
アニメーションセルに複数レイヤーを追加する
1つのセルに対して、ラフや線画、カラー (カラーの中でもパーツごと) など、レイヤーを分割したい気持ちが湧いてくる。これは レイヤー > フォルダーを作成してレイヤーを挿入 でできるらしい!
出力
アニメーション出力で、複数のセルを一気に png に書き出したり、統合して gif で書き出したりできるよ!
参考
基礎知識の連載シリーズ!基本はここで学んだ。
日本アニメーション株式会社さんデジタル作画部で利用されている工程などが詳細に説明されている!実務でどのように利用されているかがわかるのでとても参考になるけど、実務用に CLIP STUDIO をカスタマイズしたり、様々な工程があったりするので、最初に読もうとすると大変かもしれない...