現代ロシアの軍事戦略
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要点と問題意識
ロシアは
新興テクノロジーの出現は自動的に戦争の変容を意味するものではない
ロシアの動きに見られるように技術的に劣勢であるならば、新テクノロジーが出現すれば必ず何かしらの対抗策が編み出される
基礎知識
ロシア連邦軍
陸軍(SV)
統合戦略コマンド(OSK)
海軍(VMF)
空挺部隊(VDV)
戦略ロケット部隊(RVSN)
戦略核部隊(戦争抑止戦力:SSS)
OSKの指揮を受けない
その他の軍
連邦保安庁(FSB:ソ連国家保安委員会の末裔)
国家警備隊
対テロ特殊部隊
非常事態省(MChs)
ロシアの勢力圏について
ロシアが一番恐れているのは、東欧や旧ソ連諸国に対するロシアの影響力が大きく損なわれること
外国の作った秩序に従うのではなく自らが秩序を作り出す側の国であること
非軍事的闘争論について
ウクライナ介入
クリミア介入で展開した情報戦・ドンパスでの電磁波作戦・弾薬庫の爆破
ロシアにおいてウクライナ介入は侵略とはみなされていない
NATOの対策
高度即応統合任務部隊(VJTF)の設置
バルト三国で徴兵制が復活
戦争の「特徴」と「性質」の定義
非線形戦争
反共主義のメッスネル「あらゆる場所で人々の心理をめぐる戦いが行われる」
情報地政学
アメリカが情報戦を通じてロシアのネガキャンを行ってきたとする理論
2010年代に被害妄想的認識の合意、具体的には戦争の「性質」が変わったという認識が生まれた
そもそも、ハイブリッド戦争を仕掛けているのは西側諸国であるという考え
ロシアが戦う永久的戦争
搾取階級と非搾取階級の対立に戦争の原因を求めるソ連の軍事理論と通底
人々の認識や価値観を巡るものである以上、戦いは人々の頭の中で繰り広げられていることになる
抑止力の認識違い
攻撃を受けないように適度にダメージを与えて「抑え込む」
ex.)外国エージェント法
海外から資金援助を受けているNGOに対し書類不備などで刑罰
ロシア版「カラー革命」の阻止を目指す広義の国防の動き ロシア連邦国家親衛軍庁に所属
国内軍(VV)
外国による干渉の結果として起こるものとした
側近のボディーガード(ヴィクトル・ゾロトフ氏)を長官に指名
参謀本部内に国家防衛指揮センター(NTsUO)を設置(2014)
現・国家親衛軍、国境警備隊、非常事態省など、連邦構成主体政府の調整をする
シリア介入
精密誘導兵器の利用・残虐性の利用
ロシアの領域外で国益の保護及び増進に関わる任務を遂行する
現地の紛争参加勢力を糾合する
破壊工作・偵察活動・反乱活動の組織化・軍事攻撃
民間軍事会社「ワグネル」
参謀本部の傘下で、外食王のプリゴジンの出資で成立
建前上は違法「傭兵」
ナゴルノ・カラバフ紛争
トルコとイスラエルの支援を受けたアゼルバイジャンの大逆転
アゼルバイジャンの読みと兵站の仕込み(ドローンなど)
アルメニアの同盟国であるロシアの支援がなかった
義務がないから(ナゴルノ・カラバフはアルメニア領ではない)
西側への接近を試みていたから
ロシア側への依存を強めるため
アゼルバイジャンをNATO加盟国のトルコから遠ざけ取り込むため
ロシアにとって有利な「状況」を作り出すための軍事力+さらに大きな軍事力の示唆