スムーズ化
タスク実行の順番を決める際に、作業のつながりや流れを意識しておくと、実行が生まれやすくなります。逆に、つながりが悪いと実行が生まれにくくなります。
これはたとえば、パソコンで行う作業は連続で実施した方が効率的である、という話とは少し違っています。もちろん、そういう効率化の側面もあるのですが、重要なのは、気分のスイッチングコストの方です。
どうやら人間の心には、モードやムードと呼べる状態があり、それを意識的に切り替えるのには心理的なコストがかかるようなのです。たとえば、ゴミを捨てようとゴミ箱まで持っていったら、そのゴミ箱にゴミ袋がセットされていなかったとき、途端にゴミを捨てるのが面倒に感じられることがあります。動作的にはたいしたことはありません。いったんゴミを置き、備品入れからゴミ袋を取り出してセットし、置いておいたゴミを捨てれば完了です。でも、その動作が極めて面倒に感じられてしまうのです。「ゴミ捨て」と「ゴミ袋のセット」は、字面だけを見れば似ている部分が多いのですが、心のモードとしては異なる領域に属し、それを切り替えるのに心理的なコストが発生するのでしょう。 逆に、あれほど手をつけるのが面倒に感じられていた皿洗いでも、一度やり始めると今後は洗えていない皿を残すのが嫌になり、頑張って最後まで洗い終えてしまうことがよくあります。つまり、皿洗いの行為自体が面倒なのではなく、それに着手することに心理的な抵抗感が発生しているのでしょう。えいやと一度取りかかってしまえば、そこからは切り替えのコストは発生しないので、むしろ続けることの方が楽になります。
このように、一度取りかかったらそのままズルズルと作業を続けられるようタスクの順番を整えておくと、無用な心理的コストを支払わなくても済むようになり、結果的に行動が生まれやすくなります。たとえば、その週の振り返りと次週の計画は連続で行った方が作業はスムーズに流れます。というより、週を振り返っているとだいたい次の週のことが頭に浮かんでくるので、自然とそのタスクをやりたくなってきます。これはわかりやすいつながりですが、そうではないものもあります。なぜそれがつながっているのかはわからないけれども、Aをやった後は、Bに取りかかりやすい、という流れがあるのです。こればかりは、実際にいろいろ並び替えを試して、確認してみるしかありません。それを確認する上で、自分が何をどんな順番で行ったかという〈ログ〉は役立ちます。 また、作業そのものがとてつもなく面倒なものは、実行に至るまでのアプローチをできるだけ簡易にしておくノウハウもあります。たとえば、処理が面倒なExcelファイルがあるとして、そのファイルをフォルダの奥底に配置してしまうと、二重三重に実行するのが嫌になります。そうした作業ほど、即座にアクセスして、直ちに実行できる環境を整えておきましょう。