ゴールとミッション
目先のタスクだけではなく、より大きな着地点が必要となる場合もあります。たとえば、中長期的に達成したい事柄がある場合などです。その際、その「大きな着地点」は、〈ゴール〉、〈大きな目標〉、〈人生の目的〉、〈夢〉、〈ビジョン〉、〈ミッション〉などと呼ばれます。 そのような言葉たちは、それぞれ違った意味を持っていますが、共通する要素もあります。その要素をここでは「個々のタスクを通して最終的に実現したいこと」としておきます。たとえば、「毎日英語の勉強を十〇分する」がタスクだとしたら、実現したいことは「英語で会話できるようになること」です。
そして、その「英語で会話できるようになること」にも、達成した先に実現したいことがあります。たとえば、海外旅行に一人で行けるようになるとか外資系企業で働けるようになるといったことです。当然、その状態もまた、さらに先にある達成したい状態とつながっています。つまり階層構造になっています。その階段を登っていけば、最後には「人生を通して成し遂げたいこと」や「生きる上で最終的にやりたいこと」にたどり着きます。それが、大きな目標や人生の目的、そしてミッションと呼ばれるものです。
そのミッションは、『7つの習慣』では〈ミッション・ステートメント〉によって管理することが提唱されています。まず、文章で自分が人生を通して達成したいことを書き表し、少しずつそれを書き直していくことで、自分が納得できるものへと近づけていく。そのような手法です。 人生という大きなものを扱うのですから、刹那的に書き上げたものを妄信的に信条・信念として扱うのではなく、時間をかけてゆっくりと近づいていくのは有効でしょう。
ではなぜ、こうした大きな目的などを管理するのでしょうか。それは、タスクの意義を再確認するためです。
「今自分がやるべきことは、この作業なのだ」と思えれば、取りかかろうとする気持ちも湧いてきますし、集中もできます。逆に、タスクだけしか管理していないと、大きな目的が見えなくなり、そのタスクを実行する意義が感じられなくなってしまいます。その状態を打開するのがゴールやミッションの管理です。
逆に言えば、モチベーションに問題がなければゴールなどの管理は不要でしょうし、実際ゴールを設定しないタスク管理法もあります。つまり、ゴールはタスク管理に絶対に必要な要素ではありません。あくまで管理の必要性を感じるなら管理すればよい、というものです。