とりあえず着手して助走をつける
さまざまな文献で、着手することの効能が説かれている。逆に言えば、着手しないとどんどん着手しなくなる。
タスクリストのトップに「重い」タスクを配置していると、心理的抵抗感からそのタスクが着手できず、それが終わっていないのだからと他のタスクも着手できないことがある。
その場合、リスト以外の行動を取ることになる(いわゆる脱線)。
その心理的抵抗感に引きずられるなと説くのが『カエルを食べてしまえ』である。これは実践さえできれば、本当に強力な方法で、朝一にカエルを処理できたら、その余力で持って他のタスクも進めていける(人間の行動に慣性があることの証左)。
しかし逆に言うと、そこで失敗したら一日の残りも散々なことになる。これは一番避けたい失敗でもある(リスクマネジメントにおいて、一番最悪な状態を避けるために、最高効率を避けるという判断は有用である)。
タスクシュートでは、なんであれ今自分がやっていることを記録せよ、と説く。つまり、それが脱線であっても、その脱線を一日のタイムラインというリストに組み込むことで、何かを実行したことにしてしまう。すると、「一つも処理ができていないリスト」という状況を避けられる。
私も同様に、タスクリストに無い行動を取ったら、それを後からタスクリストに追加して、それをチェックしてしまう。すると(ほとんど詐欺のように)リストを実行したことに「なる」。認知的に言えば、リストが変化し、処理されたことになる。つまり、何かが「進む」。
『アウトライン・プロセッシングLIFE』で、外的な状況と自分の実行に合わせて一日のリストを操作するもの、それはリストが変化しない状態をずっと続ける、ということを避けるためだと言える。
実行を促すためのリストが、しかしその按配によって実行を促さないどころか抑制してしまうことがある。それを避けるためには、とにかくリストを動かすこと、変化を与えることだ。動的であること、可変的であること。
そのために、あらゆる手を尽くすこと、というと大げさだが、とりあえず「頭から順に実行していく」ことにこだわらず、実行した順に並び替えるなどといった「裏技」もバンバン使っていけばいい。