怒りに負ける人・怒りを生かす人
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はじめに
定義
アンガーマネジメント: 怒りの感情と上手に付き合う心理トレーニング
どんなことに対しても「怒らない」ことはいいことではない
怒りを溜め込んでしまう
多大なストレスが発生
溜め込んだ怒りは自分より弱い立場の人に向かってしまう
むやみやたらに怒るのも無論よくない
自分もまわりも疲れる
些細なことに怒るのは些細な花粉の量にも反応する花粉症に似ている(= 敏感すぎるアレルギー症状は人生を疲弊させる)
→ 怒るべき時にだけ適切に怒り、許すべき時は許すことが重要
¥ 怒りを自分の中の気づきに変換したり、建設的なことを成し遂げるエネルギーに変えることも大切
現代人になぜアンガーマネジメントが必要か
忙しいから。 「忙しさ」は怒りを生みやすい
科学技術が発達しているから。科学技術の発達は「不便さ」「不快さ」への耐久性を低くする
グローバル化が進んでいるから。怒りが生まれる原因は「価値観の違い」や「習慣の違い」であることが多い
第1章 「怒りに負ける人」「怒りを生かす人」の違いとは?
怒りに振り回されない人には、ぶらない芯がある
例) サッカー選手の三浦知良
理不尽な発言にしろ、イヤな態度にしろ、それへの対応ひとつで敵を味方に変えることまでできる。
そのいいお手本が上記のケース
何がよかったのか?
相手に恥をかかせていないこと
自分にとって大切なこと(現役でプレーし続ける)を芯に持って対応した
結果、怒りに対して怒りを返していない(そもそもカズが怒っていたかわからない)
「失ったものは元には戻らない」という孫子の教えに学ぶ
「怒りに負けてしまう」とはどういうことか
-> 最も極端な例が、「怒りによる軽率な言動で、決定的に人間関係や物体を壊してしまうこと」
ついカッとなって暴力をふるう
↓
最悪死ぬ
↓
取り返しがつかないことに
怒りをうまくなだめられたら、失わなくていい信頼や物体、命がある。失ったものはもとに戻らない
後悔先に立たず・覆水盆に返らず
「怒り」状態から「喜び」状態など、感情の状態遷移は必ず発生する
怒りに限らず感情は放っておけば小さくなっていく
→ 上記を踏まえて取り返しがつかないことをする前に我慢する
「怒らない」ではなく「怒りと適切に付き合う」という姿勢でいる
とにかく「怒らないこと」が大事と勘違いしてしまう人がいる。これはNG
「怒り」は人間に生まれつき備わった必要な感情であり、ゼロにすることはできない
「怒り」は生物としての防衛機能
「怒り」が必要な場面
生命の危機を感じるようなとき
社会的に抹殺されそうな自体に陥ったとき
「怒りを生かす人」 = 「怒る」と決めて「怒っている人」
ムダに怒ることは、才能をつぶすこと。怒りの奴隷にはならない
世界ランキング1位のプロテニスプレイヤーでもアンガーマネジメントを学ぶことがある(怒りをコントロールすることは難しい)
天才的な能力があったとしても怒りに振り回されると本来の力を発揮できない
無駄に怒ることは才能を潰す
(怒りを)健全で、建設的なエネルギーとして活用している
怒りを生かすには「怒りをプラスのエネルギーにする」
怒りで発生したエネルギーを「人を恨む」「自分を責める」などのマイナス方向ではなく、「現状を変える」「改善する」など建設的な方向へ持っていく
「抑える」以上に「上手に出す」という視点に立っている
過度に怒りを溜め込んだ挙句、誰も得しない場面で「キレる」
-> 取り返しのつかないことに
どれだけ上手に怒れるかが焦点であって必要以上に怒りを抑えるのはよくない
イライラを生みやすい「〜すべき」を手放すのがうまい
怒りを上手に出す、出さない以前の問題として「無駄な怒りを感じない」ということも重要
生命や社会的地位の危機とは程遠い些細なことで怒る場合、怒りのセンサーが敏感になりすぎている
人が人に対して怒りを感じるのは、「価値観の違い」
具体的には自分が「〜すべき」と思っていることを他人が破れば腹がたつ
「〜すべき」の数が多かったり、その主張が強い人ほど誰かに対して怒りの感情を抱く機会が多くなってしまう
怒りのセンサーを正常化するテクニック:
イラっとしたら以下の三重丸を思い描く
一番内側の円は「許せる」ゾーン
2番目は「まあ許せる」
3番目は「許せない」
2番目のゾーンを広げられるよう努力することが重要
腹の立つ相手でも、相手の育った環境や背景を理解できる
「〜すべき」という価値観は、育った環境や過ごす場所に形成される
「自分とは考え方が違う。けれども、その環境にいたなら、そう考えてしまうのも無理はない」と思えるだけでも「まあ許せる」ことにつながる
ダイバーシティ(多様性)が「〜すべき」にこだわらないおおらかさにつながる。
アメリカはダイバーシティが根付いているが日本はダイバーシティが低い社会
→ 怒りを感じたら相手の背景にある価値観について考えてみる
怒りと上手に付き合えば、未来が広がることを知っている
アンガーマネジメントを教育の一環として取り入れるべきということが書いてある
第2章 日々、イライラする、ささいなことにムッとくる場合
「とっさに怒る」の悲劇を防ぐためには、6秒待つ
怒りの感情を抱いたときに最もやってはいけないことをたった1つあげるとしたら「反射」
反射的に何か悪いことを言う
反射的に悪影響のある行動を取ってしまう
怒りの感情のピークは6秒
→ 日々のささいな怒りなら6秒心の中でゆっくりと数えるだけでも収まることも多い
まずはこれから初めてみる
スマホや文庫本で、怒りの再生産の流れを断つ
イライラした時間が長引くのはイライラした出来事や原因をずっと考え続けているから
→ 自分で怒りを再生産してしまっている
上記の流れを断ち切ると怒りは時間の経過で消えていく
気持ちは移ろいやすいので怒りの対象から気をそらすことで怒りの感情を小さくできる
「待つ」と言う状況に対するイライラをスマホでSNSを見たり文庫本を読んだりしてそらすことができる
自分なりの「そらす方法」を考えておく
ムダな怒りは、ちょっと複雑な計算や翻訳でそらす
怒られているときなどはスマホを見たり本を読んだりすることができないので少し複雑な計算や翻訳で「意識を怒りの対象から遠ざける」
「100, 97, 94...」みたいに、100から3ずつ引いて計算
「ワンハンドレッド、ナインティナイン...」と英語で数える
なぜこれが効果的か?
怒りは本能を司る「大脳辺縁系」で生まれる
計算や翻訳は理性を司る「大脳新皮質」を利用する
大脳新皮質を理性を呼び起こすことができる
結果、「今は生命の危機ではないのでそんなに怒らなくても大丈夫」と冷静な判断ができる
これらのテクニックはそんなにイライラしていない、怒りのレベルが低いときから試して習慣化しておくことが必要
なぜなら、そうしないと強い憤りを感じたとき(いざというとき)に使えない
イラッときたら、心の中で実況中継し、「現在」に集中する
定義
マインドフルネス: その一瞬に集中すること。今この瞬間に体験していることに、オープンな心と好奇心を持って注意を向けること
私たちは普段「現在」のことを考えている時間は意外に少ない
例)食事中に目の前の食べ物を味あわずに今日あった出来事の想起や食べた後の予定などを考える
思い出し怒りをしている時も同様で「今、現在のこと」をあまり考えていない
驚くほど怒っているときに「現在」を考えていない
→ これらの対処法として「マインドフルネス」が有効
自分のためにも「下への怒り」は強く戒める
怒りには強いところから弱いところへ流れると言う性質がある
例)
イライラしているときに部下が話しかけてきたら刺々しい感じで答える / 上司なら愛想よくする
インターネットの匿名もこの原理(匿名という絶対的に安全な立場から相手を攻撃する)
普段おとなしいのに車の運転が荒い人
そうした振る舞いは見ていて気持ちがいいものではないため、安易に行うと信頼を失うことになる
最低限「怒りを下に流さない」と強く意識するだけでも信頼を失ったり、評判を落とすなどあなたが損するリスクを避けられる
テクニック:
カッとなって弱い立場の人に文句を言いそうになったら、相手の顔を上司や親のように自分より強い立場の人や逆らえない人に置き換えてみる
そもそも、イライラが充満する場所には近づかない
怒りには伝染しやすいという性質もある
怒りが渦巻いているところには近寄らない
悪口や愚痴の大会と化す宴席
荒れているネットの掲示板やSNS
携帯を1日持たないで、不便になれる練習をしてみる
便利になればなるほどイライラしやすくなる
利便性への依存が待つ・我慢するという耐性を下げる
1日携帯を持たないで行動することで、「代替案を考える」「不便に慣れる」練習になる
体調管理は怒りの管理でもある。疲れたら意識的に休む
怒りが防衛本能だとすると、体力が低下しているときはより防衛本能が強く働いてしまう
怒りセンサーが過敏になる
イライラしやすいときは体を休める
「食わず嫌い」や思い込みで、怒りの元を増やさない
嫌いなものがある -> ストレスがたまる -> イライラする
避けるという行動をとる時点で「嫌い」と同じストレスが増える
嫌いな気がするという思い込みでこの行動をとると損する
「食わず嫌い」をなくす努力をする
無責任な批判はポジティブな意見へ変換してしまう
テクニック: イライラを気づきに変える
例)
場面: コンビニのレジに行列ができている
よくない行動: 店員への八つ当たり
推奨される行動: 「レジに呼び鈴があれば回避できる」「品出しをしている店員が行列に気づける位置に鏡を設ける」など意見に変換する
相手の事情や現状へのプロセスを踏まえないで無責任に批判をしない
第3章 大きな怒りを感じたり、怒りが積もり積もった場合
「なんとなく知っている」と「正確に理解している」の違いをわかる
怒りの感情をコントロールできないのは、イライラ、怒りの感情をちゃんと理解していないから
最近怒ったのはどんなとき?
1. 誰の言動に対して怒ったか
2. 怒り出した一番のきっかけは何か
3. どれぐらいの強さで怒ったか10段階で表すと?
4. 怒った際に身体のどこかに変化はあらわれたか?
これらの問いに具体的に回答できないことは意外にもあり、案外「あんなに頭にきたのに冷静になってみると忘れていてうまく書けない」ということも多い
→ 理解があやふやなものを制御・管理することは難しい
動物の観察日記をつけるように自分の怒りを記録する
テクニック: アンガーログ
自分の怒りの感情をなるべく正確に把握するために「記録する」手法
記録をすることで自分の怒りについて理解を深めていく
植物や動物の観察日記のようにつける
→ 冷静になって振り返ると、「なんであんなことで怒ったんだろう?」「以前も似たようなことで怒ったような気がする」などなんらかの気づきが必ずある
怒りの根底にある「わかってほしい」という思いに気づく
身近な人、理解してほしい人にほど「怒り」は強くなりやすい
関係性の近さ
自分のことを理解してほしいという思いを強く持っている相手ほどそれが得られなかったときに怒りを感じる
→ 怒りを感じたとしても憎んでいたり嫌いなわけではない(それだけ自分を理解してほしいという思いが根底にあること)。それを意識するだけでも自分の心が救われる
「怒りに対応する」より「不安に対処する」という視点を持つ
怒りの原因は不安
不安が強い人ほど防衛機能が過敏で怒る機会が増える
不安を消していくことが怒りが減ることにつながる
「原因」より「目標」、「過去」より「未来」について怒る
定義
ソリューションフォーカス: 原因や理由よりも「どうしたいか」という目標や理想を実現する解決策に視点を向けること
例)
× 「なぜあのときあんな判断ミスをしたんだ!」と叱る
○ 「ミスしたものはしょうがない。損失をどう回収できるかを真剣に考えろ」と叱る
キング牧師の有名なI have a dream .. という演説が好例。差別に対する怒りを糾弾するのではなく、未来や理想を語っている
上から下へ怒るときは一貫性をもたせる
特定の人間にだけ甘い <- 一貫性がなくダメな怒り
怒りが正当なものか自分が大切にしたい価値観かどうかを検証する
下から上へ怒るときには落差を利用する
普段から大声でわめき散らしているといざという時に怒鳴っても迫力がない
人間の迫力は普段との落差から生まれる
しょっちゅう反抗したり、度々怒る人は周囲の人間もその怒りに慣れてしまうようなところがある
普段温厚な人が怒ったほうが怖い
心底腹立たしい思いは、細分化してポイントを絞る
怒りが大きくなると「何もかもが腹立つ」といった状況に陥る
→ 怒りを細分化して怒るポイントを絞る
縦軸に「自分で変えられるかどうか」、横軸に「難易度」で表を作る
細分化した怒るポイントを表に散りばめる
自分で変えられるかつ難易度が低いことから改善していく
不満よりもやってほしいタスクを「見える化」する
前項のような方法は一定の効果が期待できるが、不満を伝えることで不満をぶつけ合う自体に発展するというリスクがある
→ 不満に思うことではなく、やるべきタスクをシンプルに図式化する
社会問題への怒りは、自分の人生の延長上にあるかどうかも考える
朱子「血の気の怒りはあるべからず、理義の怒りはなかるべからず」
世の中から戦争がなくならないことへの憤りは後者
道義的なことや社会的なことに怒りを感じることは悪いことではないが、それが自分の生活に支障をきたしたりするのは本末転倒
「自分の人生の延長線上に、その怒りはあるか」考える
第4章 「怒りたいのに、怒れない」と悩んでいる場合
怒っても、なぜか嫌われない人の特徴を考えてみる
なぜ怒れないのか?
怒れば人間関係を壊してしまう
怒ることで嫌われたくない
怒った相手に悪い気がする
この答えをもう一度疑う必要がある。思い込みの可能性がある
定義
コアビリーフ: 「〜するべき」「〜は絶対〜」だといった固定化した考え方のこと
怒りたいのに怒れない人は「怒ることは対人関係でマイナスの結果を引き寄せるから怒ってはいけない」というコアビリーフを保持
怒ることはプラスになることもあるのでこれは思い込み
よく怒っているのに嫌われない人は、怒ることのプラス面を考えている
実際に怒ることで怒りたければ怒ってもいいと気づく
価値観(コアビリーフ)を変えるには、行動を変える
例)
運動が苦手という価値観を変えるには、どんなジャンルでもいいから運動してみる
→「野球やサッカーは苦手だけど水泳は楽しく感じた」という発見に
怒りたいのに怒れない相手の怒りのポイントを書き出す
比較的怒れそうなことを選んで怒ってみる
怒って賛同を得られることもある
伝えてみなければ得られるかどうかすらわからない
愚痴は嫌な出来事を脳内で再現すること。なるべく言わない
怒りたいのに怒れない人はよく愚痴を言う傾向にある
同じことを繰り返し言うのは英単語を覚えるのと同じで、記憶に定着させることにつながる
愚痴を繰り返しは嫌な出来事の追体験に
イライラすることで大変さをアピールするのはやめる
× イライラした態度をとることで、自分が怒りたいということに気づいてもらおうとする
「大変な思い」「苦しい思い」を別の方法で癒す
「怒っても私は許してもらえる」という甘えをもつ
「指示がわかりません」「私はできません」とはっきり言える人は「怒っても許してもらえる」「自分の意見をはっきり言ってもいい」と言う甘えがある
人間関係においてある程度の甘えは生きやすさにつながる
※ 甘えというよりは素直さ
無茶振りはちゃんと断る
嫌だと思ったら怒ってもいい
改善点は「今度から」という言葉を添えて具体的に伝える
「なぜ」や「どうして」は理由を聞いているようで結局は責めているだけという言動
「今度から」という枕言葉をつけた上で、理由を添えて改善を促すといい
短い時間で適切な言葉を選ぶ練習をする
時間を置かずに主語を「私は」にして不満を伝える
怒りを伝えるタイミングは、怒りを感じた瞬間からあまり時間を置かないほうがいい
「前から思ってたんですけど」はNG
「じゃあそのとき言えよ」と思われるため
念を入れるなら「言いにくいんですけど」「私の個人的な感情ですが」などクッションとなる言葉をいれる
この枕言葉で相手に心構えをさせる
主語は私
一般論「〜すべき」で話すと聞いてる本人の反感を買いやすい(説教されている気持ちになる)
反省するより、自分の選択を正解にする努力をする
怒る or 怒らないの選択が失敗することはある
そのとき必要以上に反省・後悔することは自己否定に繋がってしまうのでやめる
第5章 「怒りを生かす人」であるために大切な8つの習慣
一本筋が通っていることを大切にする
怒ったくらいでなくなる人間関係でいいのか?を問う
怒ったことによってダメになった人間関係はそもそも重要ではない
真剣に怒ったことで相手が離れていくのならそれはそれで仕方がない
「捨てると手に入る」
嫌なものは嫌と子供のように純粋に怒る
例)蛭子能収
正当な理由がなくても仲間のために怒れる人でいる
例)ワンピースのルフィ
これだけは譲れないというラインをもつ
例)走れメロス
人間として重要なことを侵害された場合にきちんとNOということができる
本当に欲しいもの以外の欲望は持たない
対して欲しくないものを欲しいと勘違いした上に、それが手に入らないことでイライラしてしまうことがある
負の感情にとらわれすぎないで、損切りする勇気を持つ
怒るか怒らないか、答えを自分の中にもつ
著者「アンガーマネジメントは怒りを適切に配分する技術」
この「適切」の定義を自分で決める
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