ファランステール
本年生誕250年にあたるシャルル・フーリエ(Charles Fourier, 1772.4.7.-1837.10.10)は,ユートピア社会主義者や,奇想家,妄想家,「王宮の狂人」とさまざまに呼称された人物である。彼が,産業主義や自由主義,競争等を批判し,男女同権や女性の解放を主張,教育に関しても児童教育法を提案した。ただ,協同思想としては,フランスの,あるいは国際的にも独自の先駆的地位を占めていることは論をまたない。文明社会における貧困の存在を,とりわけ無分別で生産者と消費者を搾取する商業的規制と所有の細分化にみた彼は,理想社会として,ファランステール(生活協同建造物)を中核に据える生産・消費協同体を構想した。人間の幸福が競争制度ではなく,「情念」引力にもとづく協同社会に変えることが,彼の目的であった。 彼は,文明社会の一般的貧困と無政府状態を除去するために社会運動の法則,即ち情念引力の法則(五感の満足を求める自己中心的情念,友愛・野心・恋愛・家族愛の対人関係情念,密謀・浮気・複合の社会関係的情念という合計12の情念)を「発見」した。これらすべての情念を充足してこそ真の社会であって,それはファランステールを中核とするファランジュ(生活協同体)で実現するという。 彼の想定するファランステールとは,鳥が両翼を広げた形をとる衛生的な4階建ての建物である。最小400人,最大2000人,平均としては1620人(810人の男女それぞれ)から構成される協同住居と学校・劇場・協会・病院などの必要な諸施設によって構成され,生産から消費にわたって生活を協同する効率的な調和社会の中核という。ファランジュ全体は,建物や耕作地などがすべて整っているとして,基本的に9カ月の期間内に5回に分けて人員を追加するものとされる。
「たった一世帯のミルクでは,グリュエールチーズという名のチーズをつくれないことを理解しているジュラ地方の農民は,協同し,毎日,共同作業所にミルクを運ぶ。そこではめいめいの持ち込み分は木の割符に数量を記入される。そして,これらの少量のミルクの集積から,少しの費用で,巨大な釜のなかで多量のチーズがつくられるのである。」(シャルル・フーリエ〈田中正人訳〉「産業的協同社会的新世界」〈1829年〉,五島茂・坂本慶一編『世界の名著42 オウエン サン・シモン フーリエ』中央公論社,1980年,p.447)
「協同社会制度においては,調和と同じ数だけの不和が必要である。われわれは,まさに不和から始めなければならないのであり,また,情念系列のファランジュ(1800人の人間からなるファランステールに住まう1800人の人間からなる協同体)を形成するためには,調和を組織する前に少なくとも五万の不和を爆発させなければならない。」(同上,p.485) これはなんかすごいわかるmtane0412.icon
調和に至るためにたくさんの不和を経験する
不和を見てみぬふりをすると真の協同は得られない
違いを認識して乗り越える
競争原理ではなく情念によって協同社会を生み出すには不和が必要
難しいけど住民会議にシャルル・フーリエを追加すると色々捗りそうmtane0412.icon
フランスの思想家シャルル・フーリエ(1772- 1837年)は、その理想社会構想において、新しい社会秩序は新しい建築を必要とするとの発想に基づき、共同体内の個々人の行動を促すような建築案を提示した。たとえば、共同体を構成するメンバー間の紐帯を強めるために、系列房(セリステール séristère)や回廊式通路(リュ=ギャルリ rue-galerie)など、「流れ」や「循環」を重視した建築空間を構想している。この空間における人の「流れ」や「循環」という発想は、同時代の都市や建築と身体の関係を考察するうえでの鍵語でもあった。フランス革命後の18世紀末から19世紀にかけては、ルーヴル宮グランド・ギャルリやパサージュなど、遊歩のための回廊空間が次々と作られた。また、フーリエとほぼ同世代の思想家サン=シモンに影響を受けた技術者たちは、やがてフランスの都市計画・国土計画において「流れ」や「ネットワーク」を重視してゆくこととなる。 えぇ〜なんかすごい近いかもmtane0412.icon
空間の方で協同をデザインする感じ
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