特許無効判決と「請求異議の訴え」の限界|弁理士田中智雄
まとめ
1. 絶望のシナリオ:なぜ「死んだ特許」に金を払うのか
通常、特許が無効になれば、その特許権は最初から存在しなかったものとみなされる(遡及効。しかし、侵害訴訟の判決が「確定」してしまうと、話は別。 このとき、債務者が「特許は無効になったんだから、1億円払う理由はない(請求権は消滅した)」と請求異議の訴えを起こしても、裁判所はこう告げる。 なぜこんな残酷なルールがあるのか。
理由: 裁判の蒸し返しを防ぐため(法的安定性)です。もし後出しの無効で判決がいつでもひっくり返るなら、特許訴訟は永遠に終わらない。 限界: 請求異議の訴えは、通常「判決後の事情」で争えるが、特許の無効についてはこの条文が特別に「封印」している。 3. 弁理士の視点:差し押さえを回避する「弁理士の戦術」 執行を止めるための「請求異議の訴え」が封じられている以上、勝負は「判決が確定する前」にすべて決まる。弁理士として、以下のタイミングと戦略が極めて重要。 もし確定前に和解を検討するなら、必ず以下の条項を検討します。 「本和解後、対象特許が無効となった場合、支払済みの解決金の一部(または全部)を返還する」
※ これがないと、後で無効になってもお金は戻ってこない。