EvoRoll に辿り着くまでの道のり
https://gyazo.com/b57546f8d543b899312a95df5e400bc9
メモとして残しておく
トラックボールがついたキーボードを作りたかった
トラックボール付きのキーボードはいくつか買って触ったがいまいちしっくり来ていなかった
keyball39、Charybdis Nano、cocot46plus、cocot36plus、cocot micro
エンドゲームを求めてたくさんキーボードを触っていたが、満足いく操作性を得られなかった
でも、実際に触ってみて理想のものがどんなものなのかを想像できたのは良かった
触らないと想像できないから、いろいろ触れてよかった
GameBall の操球感が好きで、GameBall のような操球感のトラックボール付きキーボードが欲しかった
ないなら自分で作るしかないと思いつつ、トラックボール関連の知識がなかったりしたため、一歩踏み出せなかった
GameBall の球は、38mm なのに 40mm の球よりも重いという異常な球
GameBallの38㎜操作球(左)は、OrbitFusionの40㎜操作球(右)より小さいにも関わらず、ずっしりと重さを感じます
GameBall (38mm) : 47.1g
OrbitFusion (40mm): 40.1g
この比重の重い球ということもあって、GameBall が好きなのかも
ボールの大きさと重さがちょうどいい
ボールが大きすぎると、キーボードの上に載せた時に手がつらくなる可能性があるため、程よく大きいくらいがいい
名前
Evo
進化する
まだまだこれから進化するって意味
Roll
転がす
トラックボールだから転がすイメージ
EvoRoll を作ることになったきっかけ
2024年7月ごろに、会社の同僚が keyball44 を使いたいため、組み立てをお願いしたいという依頼が来た
キーボードの組み立て (はんだ付け) は楽しくて好きだから、すぐに了承した
keyball 界隈 (?)では、トラックボールケースをベアリングにすることができたり、いろいろカスタムができるらしい
同僚もトラックボールケースをベアリングに交換していた
少し触らせてもらったら、ベアリングのスムーズさに衝撃を受けた
ケースの構造を見させてもらって、ねじ止めでベアリングを固定していたため、「これなら自分でも設計できるのではないか」と思った
今思うと、cocot micro もベアリングをネジとナットで止めていた
2024年5月にあった天キーで、The Endpoint のトラックボールを触って、カーソルが思ったよりもスムーズだったのも覚えている
おそらく、センサは PMW3360 だと思うので、同じセンサを使えば同じようにスムーズな操作性が得られるということがわかっていたのも大きかったかも
トラックボールセンサのブレークアウトボードがあったのも大きいかも
これがなかったら、作っていない
好きな大きさのボールのケースを作ることで、自分好みの物が作れるのもよかったかも
小さく進める
以下の順序で進めた
1. ベアリングを使ったボールケースの作成
2. トラックボールブレークアウトボードとベアリングを使ったボールケースの設計
トラックボールブレークアウトボードの固定ができるようにする
3. トラックボール付きのマクロパッドの作成
ボールケースは汎用的にすることで、キーボードにもそのままつけられるようにする
ここで実質3キーのキーボードを作成できたため、あとはキー数を増やすだけでできることがわかった
RP2040-Zero、トラックボールケースの汎用性の確保、choc ソケットの使用、スペーサー・ネジがあうか、などの確認ができた
4. キーボードにトラックボールをつける
1. ベアリングを使ったボールケースの作成
最初は横向きで作成してみたけど、それだとうまくボールが回転しなかったため、ほかのトラックボールのようにセンサに対して垂直にしたらうまく動いた
実際に作って、触ってみるのが一番
https://gyazo.com/a6766720941301475f95b3fd9983fa98https://gyazo.com/7d7a230e40f879a02552727864e5d38d
2. トラックボールブレークアウトボードとベアリングを使ったボールケースの設計
ボールケースは GameBall のボールの固定部分を参考にした
爪の形、位置、ベアリングの位置など
https://gyazo.com/f11d4f01278048211c5fda64153f1671
ベアリングの高さについては15° としているが、もう少し下げてもよかったかも
https://gyazo.com/ae9ed68051efe2d4eaeff3c449c2dbb2
cocot micro の設計を参考にして、ベアリングをネジとナットで止めるようにした
https://gyazo.com/26c440802984d96fc53e32d4138dced0
ベアリング側の方には少しだけでっぱりをつけた (これも cocot micro の設計を参考にした)
https://gyazo.com/ec6d6c3f8f10d8533abcaaca9f9c174d
トップケースとボトムケースはマグネットで止めるようにした
ベアリング部分を見せないようにするため、トップケースとボトムケースに分けてそれをマグネットで固定する形にした
https://gyazo.com/49ae06da8fc7bb4942493edfe11910c0https://gyazo.com/2ae20d992a8ec79ea15110d2b98ee6c8
マグネットは横のずれに弱いため、この状態だと簡単にずれてしまい、ボールとトップケースが干渉してしまうことがあった。そのため、後のバージョンでは、トップケースとボトムケースにそれぞれ凹凸をつけておき、ずれないようにした
https://gyazo.com/77ed357595715ffe5b253d83888f3814
レンズの位置がどの位置になるのかがわかりづらかったが、最終的には理解できた
https://gyazo.com/0f894208da9f5958c9ae047565ae3cf4https://gyazo.com/006172211f38bb761c236d492d574eee
ブレークアウトPCBから、ボールまでの距離が7.4mmとなるように配置する必要がある
この距離が一番大事で、この距離によってボールの操作性が段違いに変わる (という認識)
上から、ボール、レンズ、ブレークアウトPCB の順
https://gyazo.com/a1f6cc603e64a04fabc0967b5bd8643c
GameBall の真似をして、ボールを止めるツメとかをつけてみたけど、ボールの操作性が悪くなったため、やめた
https://gyazo.com/587ab969165971c09347079058267374
3. トラックボール付きのマクロパッドの作成
ボールケースは汎用的にすることで、キーボードにもそのままつけられるようにする
スイッチやソケットの寸法など
スイッチ
https://gyazo.com/e05cf47a8026213e573c2109868abbf5
ソケット
https://gyazo.com/35c806b032edbe81b7a8b21fffd06ed9
ボトムプレートのくりぬき部分
https://gyazo.com/a54e6314dcb52f416888a9793954973f
https://gyazo.com/efadd7dc88939441fe933849d1ef97d1
ココ好きポイント
トッププレートとボトムプレートで、RP2040-Zero のコネクタをいい感じ覆うようにしている
https://gyazo.com/30a24c0d05ed66c792fd28241e87e149
https://gyazo.com/de94a895503a67c1adbe81b4e607ba27
ボールケースとピッタリと合うようにしている
https://gyazo.com/5907ddcb20b61c7197164b4415b0acc3
https://gyazo.com/49b1f316444c63f5a0358b43402ef70chttps://gyazo.com/8f7aac3e95ddccb1ce0bdab9374f0d0e
ブレークアウトPCBには、ピンソケットをつけられるため、キーボード側のPCBと同じ高さにできた
https://gyazo.com/dbafd65fd3602c772a84a438365345dehttps://gyazo.com/23ce2513dfb5f1c1d34193e1f2f0ec75
https://gyazo.com/de94a895503a67c1adbe81b4e607ba27https://gyazo.com/4257694d12976c07d83b8c0752c89c4e
4. キーボードにトラックボールをつける
haqua34 の配列にちょっとだけ不満があったため、その改善も合わせて行った
小指を少しだけ傾けてみた
Pキーは小指で押す
薬指で押してしまうと、ホームポジションが崩れてしまう気がしたから、変えてみた
nowt36 のときには、薬指で押していたけど、それは19.05mmピッチだからだった気がする
狭ピッチの場合は、小指でも問題なさそうな気がしたから、変えてみた
https://gyazo.com/3fe8bc1d56681f5c25b1115a009bb927
ほんの少し違うだけでも全然違う
小指の位置が定まった感じがする
マウスキーを個別に用意する
よく使う左クリックや右クリック、戻るなどのために個別にキーを用意したかった
見た目も大事だけど、実用性のほうがもっと大事なため、重要視した
https://gyazo.com/4b5e94b2da0be5455b8c03628cd18332
これを設計しているときは、以下のようにしようと思っていた (ちょっとファームウェアの話)
1: 戻るボタン (lower: 進むボタン)
2: 左ボタン (lower: ??)
3: 右クリック (lower: 中央ボタン)
スクロールをどうしようと思っていたのかは忘れた
意外とスクロールの操作が多かったため、今はドラッグスクロールをトグルできるようにしている
そのため、今は以下のようにしている
1: 縦スクロールのトグル (lower: 進むボタン)
2: 左クリック (lower: 右クリック)
意外と、2 で右クリックと左クリックの両方が使えるのが便利だと思っている。両手使わないといけないのがネックだけど、ほとんどの場合は手を置いていると思うから、問題なしと判断
3: 戻るボタン (lower: 中央ボタン)
トラックボールの位置関係とかはマクロパッドを置いて試したりしていた
(写真はない)
ピンソケットのはんだ付けがしやすいように、ちょっと出っ張りをつけてみた
マクロパッドのときに、大変だったため、改良してみた
https://gyazo.com/c6091534169634a396a7cf0e2ccd221d
写真をペタペタ
https://gyazo.com/1a6dcf3f8fefceddc23a03c66293aa22https://gyazo.com/196f7de89ed71b76f0c06e5e27ff5dd4
https://gyazo.com/cffa9895bfe226b3f617763d9ac82edchttps://gyazo.com/eaa2bff2ca537cdf1004430b337c4b66
まとめみたいな
2022年の初めごろからトラックボールを使い始めて、ずっと頭の片隅にトラックボールがついたキーボードを作りたいと思っていたから、やっと実現できて良かった
やっぱり自分で作ったものを使うのは楽しい!
いろんなキーボードを触っていく中でいろんなアイディアを見てきて、それが自分の中で積み重なっていて、それを形にしている気がする
だから、他の人のものを見たり触ったりするのも大事だと思った
3Dプリンタを買ったのも、2023年の天キーで3Dキーボードを触ったから、自分でも設計して作ってみたいと思ったからだし、
EvoRoll を作ったのも同僚の keyball44 のベアリング支持のボールケースを触ったからだし、
触るの大事
いったん、エンドゲームだと思っているけど、おそらくはまた違うキーボードを作るんだろうと思っている
作るの楽しいし、楽しいから作っているみたいなところもある
Gravity Keycaps が使えて、GameBall のボールの載ったキーボードができてすごい満足!
いろんな知見が残されている自作キーボード界隈が好きです
ありがとうございます
基本的には自分の設計したキーボードのデータは公開している
表面的な情報しか得られないかもだけど、それでも誰かの目に留まって、何かしら得られることもあるかもだから、公開しておくことは良いことだと思っている
ソフトウェアのソースコードの公開みたいなものかな?
参考にしたり、何かしらの情報を得たもの
トラックボールケースの設計
あたるの氏の Mooose
マウスキーを独立させても良いというアイディア
トラックボールセンサーのブレークアウトPCB
GEIGEIGEIST/TOTEM
LowProfile なキーボードのケースの設計の参考にした
スペーサーを使いつつ、低くするためのケースの設計
GameBall
GameBall の共同購入に参加させてくださった shiba さんに感謝です。これがなかったらトラックボールにここまでのめりこまなかったと思います。
今まで見たり触ったりしたすべてのキーボード
無意識でも何かしらの影響を受けていると思うので、すべてのキーボードが参考になっていると思う