TEAM OF TEAMS
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序文
なんの本?
元米陸軍の大将でアフガニスタンにおける米軍と多国籍軍の司令官を努めた、スタンリー・マクリスタル氏の現地で遭遇したリアルで生々しい戦況をもとに、複雑で変化が早い 21 世紀に求められる組織像と、リーダーシップ像についてを、3 名の共著者と共にまとめた書籍。
本書の狙いは、読者が今日の世界が過去とどう違うかを理解し、それに対して何をすべきかを理解してもらうことだ。
なぜ読むのか?
マネジメント本をいくつか読んでいて、内容についてなんとなく古臭く感じる違和感があり、その違和感の正体を明らかにしたいと思った
まとめ
マネジメントの重要性
我々にとって最大の問題を解決するために組織(軍、学校、政府、企業)が不可欠なのであれば、そして組織が力を発揮できるか否かがその運営に左右されるのであれば、我々が暮らす世界の質はマネジメントによって決まることになる。
透明性の高い情報共有の仕組み、適切な権限委譲の仕組み
どちらかだけがあっても機能しない
相互依存的でスピーディーで予測不可能な世界では、要素還元主義的な従来型のトップダウンのマネジメントは機能しづらいどころか、足枷にもなり得る
英雄的リーダーがすべてを理解し、予測し、手を打っていくことは不可能
チェス名人と菜園主
チェスのように一人一人の動きをコントロールしたい欲求は捨てる
菜園主のように自律的に組織が活動できる生態系をつくり、維持する
特任部隊でも菜園でも、大事なのは最初の植えつけより、継続的な手入れだった。収穫を迎えるには、水をやり、草をむしり、ウサギや病気から守ってやることが欠かせない。菜園主には、トマトやズッキーニ、豆をその手で「育てる」ことはできない。できるのは植物が自ら育つ環境をつくることだけなのである。
特任部隊で我々は、新しいマネジメント手法に加え、自立型のリーダーシップという新しい考え方が必要だと気づいた。上に立つ者の役割は、糸を引いて人形を操ることではなくなり、共感によって文化を創造することになったのである。 新たなリーダーに最も必要とされているのは、全体を見渡す視野を保ち、要素還元主義型の組織になるのを避けることであり、細かい口出しや手出しをしたくなる気持ちは抑えなければならない。
読書メモ
プロテウス問題
プロテウスの息子たち
2004 年のイラク戦争で世界最高のエリート集団が寄せ集め集団のアルカイダ (AQI) に苦戦
AQI は従来とは異なる分散したネットワーク構造の組織担っていた
客観的にみればより優秀である米軍に対して互角以上に戦っていた
21 世紀はここがより結びつき、スピードが増し、予測が難しい
戦場以外にも社会のほぼすべての分野で同じことが起きている
環境の変化に対して自分たちが変革する必要がある
変化が必要だったのは戦術やテクノロジーよりも軍のマネジメントの問題だった
時計仕掛け
軍事組織の組織構造と文化
規律と階層を特徴とする還元主義
テイラーの「科学的管理法」とそれに類似した理論の影響を受けている
既知の反復可能なプロセスを、非常に高効率で大規模に実施できる点が優れている
21 世紀にはこのやり方が通用しなくなっていた
効率性は成功のための十分条件でない
難解さから複雑さへ
世界はより相互依存的でスピーディーなものになり複雑になった
難解な問題は努力をすれば予測可能
複雑な問題は色々な状況が相互依存して作られるので予測不可能
複雑系においては、何かについて原因があるにしても、その原因があまりに多く、しかもそれが互いにさまざまな形で直接的・間接的に関連しているため、理論上はともかく、事実上、結果を予測するのは不可能といえる。
ビッグデータは救いの神にならない
大量のデータは、複雑な現象がいかに起こったか、どのようにして起こるのかを説明するには役に立つかもしれないが、それがいつ、どこで起きるのかは教えてくれないだろう。
データは「平均的」な結果をかなり正確に明らかにしてくれる
「君が昼飯に何を食べるのか当てて見せようか?」
もちろん何を食べる傾向があるかということはいえる
結果は偶発的な小さい偏差が大きな影響を与える
予測不可能な状況は要素還元主義的マネジメントと相容れない
計画と予測に基づいているがそれができないため
正しいことを行う
予測力ではなく適応力によって、未知で複雑な環境に対応する
効率の追求は逆に柔軟性とレジリエンスを制限してしまう
そういった効率のよいマネジメントを捨て去る必要がある
一つにまとまる
命令型からチームへ
命令型組織は要素還元主義的な予測に根ざしている
計画された手順の実行に大変優れているが適応力が低い
様々なものが複雑になりすぎて命令型組織がトップダウンで実行するのが難しくなってきた
NASA は、航空乗務員の予期せぬ事態に対応する能力が低下している原因は、機長だけでは対処できないほど機体が精巧で複雑になりすぎたにも関わらず、機長がすべてを管理して対策を立てようとする点だと確信した
1979 年 6 月に NASA が主催したワークショップの参加者はみな、開会挨拶の冒頭での「皆さん、機体はもはや問題ではありません」というフレーズを今でも覚えている。
チームのなかのチーム
複数のチームが集まった命令型組織
単体のチームが適応力を発揮しても組織全体が上層部の命令で働くようではダメ
チームのなかのチーム
配下のチーム同士の関係が単独のチーム内でのメンバー同士の関係に似た組織
共有する
システムを考える
どちらの組織も組織図内の個々の MECE な箱だけでなく、相互に関連した流れ全体をメンバーに理解してもらわなければならない
情報共有の透明性の高さをかってないレベルに高める必要がある
脳を収納ボックスから取り出す
テイラーから発想を得た効率性を実現しようとすると、情報の共有や特任部隊に浸透させるべきシステム的な理解を妨げる
毎日近況報告会を行い、作戦の全体像を理解するための情報が送り届けられ、全員がそれに貢献する機会を与えられた
囚人のジレンマを打ち破る
成功には組織の壁を越えた協力が必要
メンバーを意図的に入れ替えることで部隊感や協力機関との間に強い横の結束を築いた
目的意識の上に「信頼」が生まれた
アポロ計画はなぜ成功したのか?
NASAの成功は、組織に関する深い見識を示している。なかでも最も重要なのは、相互依存性と未知のもので形づくられる領域では、状況理解が鍵だという点である。
人とのつき合いや会話が、どんな貴重なものを生み出すかは予想もつか分からない。
信頼を作ることの難しさ
9月 11 日の同時多発テロ以降のアメリカ情報関連機関での情報共有で多くの命が救われ、マニングやスノーデンによる有害な漏えい事件が与えた被害よりも、はるかに大きな利益を得ている。役に立つものは目に見えないが、漏えい事件は新聞のトップ記事になる。そのせいで、判断を誤ってはならない
チームとして成果を出している事例
スーパーチームを作るのはスーパーマンであるという誤った考え
なぜ規模の拡大とともに行き詰まってしまうのか?
解き放つ
手は出さない
組織は従来、あらゆる技術を使ってメンバーを統制したきた
新たなテクノロジーにより、今日のリーダーたちは、かっては不可能だった局面においても情報を集め、指示を出せるようになった。しかし、競争で後れを取らずにいるにはスピードが不可欠で、権限を集中させるためのコストが高くなっている。
規律が保たれたなかで部下たちに権限を委譲する必要がある
菜園主のように組織を率いる
世界が変わっても、時代遅れのモデルやリーダー養成法を手本にしている
英雄的なリーダーはもはや存在しない
チェス名人と菜園主
チェスのように一人一人の動きをコントロールしたい欲求は捨てる
菜園主のように自律的に組織が活動できる生態系をつくり、維持する
特任部隊でも菜園でも、大事なのは最初の植えつけより、継続的な手入れだった。収穫を迎えるには、水をやり、草をむしり、ウサギや病気から守ってやることが欠かせない。菜園主には、トマトやズッキーニ、豆をその手で「育てる」ことはできない。できるのは植物が自ら育つ環境をつくることだけなのである。
特任部隊で我々は、新しいマネジメント手法に加え、自立型のリーダーシップという新しい考え方が必要だと気づいた。上に立つ者の役割は、糸を引いて人形を操ることではなくなり、共感によって文化を創造することになったのである。 新たなリーダーに最も必要とされているのは、全体を見渡す視野を保ち、要素還元主義型の組織になるのを避けることであり、細かい口出しや手出しをしたくなる気持ちは抑えなければならない。
先を見据える
我々にとって最大の問題を解決するために組織(軍、学校、政府、企業)が不可欠なのであれば、そして組織が力を発揮できるか否かがその運営に左右されるのであれば、我々が暮らす世界の質はマネジメントによって決まることになる。