勉強から研究への移行
覚悟をきめて勉強を一旦中断して、これができたら論文になるかな、という目標 A を意図的に設定して、その目標 A にむかって、色々調べものをしたり、計算したり、しないといけません。 目標 A が達成できたら、論文をかきはじめます。 しかし、そう順調にいくのはやはり稀でしょう。
これは物理の研究と論文についてだが、情報発信に置き換えて考える。
ずっとだらだらインプットしてるうちに、書きたいことが出てくるわけではない。テーマを考える目的で幅広く色々見ていくのはいいが、ある程度切り口が決まれば、そこに向かって間を埋める形で新たに調べていくことになる。
目標 A が到底むりそうなら、目標をもっと簡単な A' に修正する。
しかし目標 A' が見当外れだったとわかったら、目標を A'' に修正する。
目標 A'' は時間をかければ達成できそうでも、博士論文提出まで、もしくは現在のポスドクの任期中に間にあわなそうだったら、目標 A'' にいたる中途の目標 B で、それだけで論文にしてよさそうなものを探して、目標 B までを論文にする。
中間目標 B を設定したが中間目標 B までたどり着く方法はあいかわらずわからない。しかし B から A'' までの道筋はやり方がわかって論文に出来そうなら、そこだけ切り出して論文にする。
また、このような目標の再設定を適宜やっていくためには、目標は具体的である必要があります。 十分に具体的でない例をいくつかあげましょう:
「理論 T について考察する」
理論 T のどの側面について考察し、どのような結果を得たいですか? そこまで設定してはじめて目標です。
「大問題 Q を解決する」
(Q=量子重力の構成、弦理論の非摂動的定式化、クォークの閉じこめの理解、などを聞いたことがありますが、)完成させる、というのはどういうことでしょうか? どこまでできたら目標が達成したということにしますか? 大問題 Q に関するこれこれこの具体的な問題について解決する、というふうにしましょう。
「教科書 X で手法 M を学んだから、手法 M で解決できる問題を一つやりたい」
どの問題をやるか、というのを具体的に設定して、それをやりきる、というのが、目標を設定するということです。
個々も非常に重要。なんとなくキーワードだけ決めて、漠然と調べることが多くなりがち。この場合、書き終わるところまで到達することはめったにない。最近なら、自己組織化が気になってるが、これもただキーワードとして「自己組織化」に何か面白いことが隠れてそうと思うだけで、全く具体的でない。具体的にするなら、自己組織化の観点から決定論と非決定論を考えるとか、それをどんな形で日常生活に落とし込むか、というところまでテーマとして設定しておく必要がある。
2024/11/29 02:47