「農業は大地に預金口座をもっているようなものだ」
キケロの『老年論』対訳版
第十五章 農業の楽しみ
次は農業の楽しみについて話そう。僕は農業の楽しみに心酔している。農業は年をとっても変わらず楽しめるし、農業にいそしむことで僕は賢者の生き方に最も近づけると思っている。農業は大地に預金口座をもっているようなものだ。この銀行はけっして支払いを拒否しないし、受け取ったものには必ず利息をつけて返してくれる。金利は安いのもあるが大抵はかなり高い。
今考えてみるとこれは「土地が富の源泉」と考える重農主義的感覚に近い。