「生計の手段は,農作業により太陽エネルギ ーの毎日の収入から得られる。」
「かくして,物理学は,こうした政治経済学の問題,あるいはマルクス主義著述家の「我々の 社会の富,すなわち,社会を構成する個々人の生計と快適さの手段の源泉は何か?」という問い 掛けに,私はこれが初めだと思うが,厳密に答える。生計の手段は,農作業により太陽エネルギ ーの毎日の収入から得られる。生活の付属品,衣服,家,燃料や快適品や贅沢品は,その大部分 が過去の地質年代から保存されてきたエネルギーの資本蓄積による収入増加によって得られる。 生命は,一瞬一瞬,連続するエネルギーの流れに依存しているので,生存を可能にする必需品と しての富はストックよりむしろフローの性質を帯びる」(Soddy(1922),邦訳(上)50ページ)。
生計は、太陽エネルギーをどう変換して取り出してくるか。手を通じた農作業という形での労働(物理学で言うところの仕事)によって野菜や穀物に変換される。 ケネーなどの重農主義者は土「地が価値の源泉」と解釈したが、それは太陽エネルギーの獲得にはより多くの土地がある方が有利だから。