遺伝子の表と裏
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遺伝子の「表と裏」は比喩的な表現であり、専門的には「センスとアンチセンス」と表現される。遺伝子の実体は DNA 二本鎖である。一般に「遺伝子が発現する」とは、 DNA 二本鎖のうち特定の一本(アンチセンス鎖)を鋳型としてその配列情報をメッセンジャー RNA (mRNA)に写し取り (転写し)、その配列情報をアミノ酸配列へと「翻訳」してタンパク質を作ることを言う。 mRNA は、 DNA のアンチセンス鎖を鋳型とし作られるため、センス鎖の配列を持つ(図11), もし DNA のセンス鎖を鋳型として mRNA が合成されても、できた mRNA はアンチセンス鎖の配列をもつため正しいアミノ酸配列へ翻訳されず機能しない。したがって、 DNA 二本鎖のうち のどちらが mRNA に転写されるかは、遺伝子ごとに厳密に決められている(図12)。 MpFGMYB と SUF のように、両方の DNA 鎖から機能的な mRNA が作られる遺伝子は非常にまれであるが、動植物を通じていくつかの報告例がある。