近い過去こそ見落としやすい
近い過去こそ見落としやすい
「交通戦争」についての本が読みたいんですよ。昭和30、40年代は、交通事故の死者数が非常に多く、社会問題になっていました。「先月の交通事故の犠牲者は日中戦争の○○作戦の死者と同じ人数です」というような表現が普通に使われていたといいます。まさに「交通戦争」であったと。
初代の「ウルトラマン」には、メフィラス星人が子どもに「地球のように戦争も交通事故もない星が宇宙にはたくさんある」と地球を棄てるよう説得する話があります(「禁じられた言葉」)。それくらい子どもにとって交通事故による死が隣り合わせの時代であったようです。
日本の高度経済成長期、モータリゼーションの負の側面として「交通戦争」はあったわけです。もちろん当時を生きたひとにとってはあらためて語るまでもない常識なのでしょうが、まだ歴史として編みなおされるまでは熟しておらず、世代がすこし違うと知られていないということになるのでしょう。
近い過去こそ見落としやすい。そういうところを「歴史学する」のは大切だと思います。