職人的雰囲気が失われつつあるのはコンピューター・ボーイが理由なのだ
職人的雰囲気が失われつつあるのはコンピューター・ボーイが理由なのだ
パタゴニアの思い出は尽きない。すでに80年代後半、ボブ・ジャレットはパタゴニアの将来を悲観的に見ていた。ボブは職人的雰囲気が失われつつあることを嘆いていた。ボブによればコンピューター・ボーイが増えたことが理由なのだという。物づくりには経験が求められる。それはウェアも同じだ。しかし今のパタゴニアのウェアに私たち現場の声が反映されることはない。思い出してほしいのは何故、昔私たちが熱狂的にパタゴニア製品を使ったのかということだ。カラフルな地下足袋や自立するスタンドアップショーツ、ラグビージャージーやパタロハとして知られるアロハシャツ、出始めの頃の色鮮やかな「シンチラ」ジャケットなどには若いクライマーが求める何か特別なものがあった。製品にはイヴォンの斬新なセンスとユーモアがあふれていた。
現代はどんなものでも作ることが出来る時代だ。だからこそセンスが問われる。1960年代、イヴォン・シュイナードは繰り返し使える鍛造ピトンを造り岩登りの可能性を広げた。しかしやがて大勢がそれを繰り返すことによる岩の破壊、つまり自然へのダメージにつながることに気付く。