結果による淘汰
結果による淘汰(Selection by Consequences)
スキナーの行動への視点は、“巨視的”であると批判されることが多い。つまり、スキナーの扱う行動は、より核となる部分に分解できるという批判である。しかし、スキナーは、数々の論文(例えば『結果による淘汰(Selection by Consequences)』(Skinner, 1981))の中で“行動の完全な記述”について書いており、この視点は巨視的と簡単には評せないものであった。
スキナーは、行動を完全に説明するためには、淘汰の歴史を3段階に分けて理解する必要があると主張している。それらは、以下の3段階である。
生物学:動物の自然淘汰、系統発生
行動:動物の行動レパートリーの強化歴、個体発生
(いくつかの種が持つ)文化:その動物が属する社会集団の文化的慣習
スキナーは、全ての生活体が、<全歴史>と<環境>との相互作用していると考えた。そして、自分自身の行動もまた、その瞬間の環境と相互作用している、<系統発生の歴史>と<(文化的慣習の学習をも含む)強化の歴史>の産物として表現した。