空間の経験―身体から都市へ
空間の経験―身体から都市へ
この本のいちばん根っこにある着想は、空間(スペース)と場所(プレイス)との違いということだ。 space, place
空間という概念は近代以前には東洋にはほとんど(あるいはまったく)なかった。 「空間」という概念は近代以前にはなかった
天空という概念で尊いもの、上方のものを指して地上と対応させる概念はあったが、 拡がりを示す概念は、ほとんど(あるいはまったく)場所、いいかえれば親しさの及ぶ範囲、親族や血縁の共同性が認められる領域の拡がりによって示された。 「場所」は、親しさの及ぶ範囲、親族や血縁の共同性が認められる領域の拡がり 推察すれば東洋が近代以後に西欧の科学や技術をうけいれたあと使うようになった空間という概念と、場所という概念を分けてみるこの本の最初の着想は、そんなところからきている。
「空間」と「場所」の意味することは異なる
この視覚以外の感覚が、わたしたち人間の場所や空間の概念の拡がりを作るのに、とてもおおきな役割を演じているという考え方にあるとおもう。わたしなどがすぐ思いあたるのは、柳田国男の民俗学がこれとおなじ考えを『明治大正史(世相篇)』のなかでやっていることだ。 https://gyazo.com/6d22baeeed3f786134ab823e7c70d014