矢作俊彦の図書館の話
矢作俊彦の図書館の話
数日前に昔の矢作俊彦のインタビューを読み返して、図書館の話をしていたのを思い出した。
wayback machine
2010/11/30
うーん、わからないです。ぼくに訊かれても、なにが必要だったのかなんて。
逆にうかがうとみなさんは、どれくらい本を読まれてるのかな、と思いますね。それからどれくらい本を買うか、という問題もあります。小説家になりたい人は多いけど、本を買う人が減ってるんですよ。それも我々が儲からない大きな原因です。ここは図書館でしょう?(※会場の遊学館には山形県立図書館が併設されている)地方の図書館って文庫まで買うんですよ。図書館がベストセラー小説の同じものを、10冊も20冊も買っちゃう。そんな必要があるんですかね。
つまり図書館が利用者に、どれだけの本を借り出したか、という数で仕分けの対象になっちゃうんですね。図書館がどれだけ利用されたか。利用された回数が重要になるから、誰でも借りる本をたくさん買うわけですよ。それで貸出率をあげる。だから本もどんどん売れなくなる。
図書館というのは、1冊9000円とか1万5000円とか、個人で蔵書できないような大きくて重い本を置いておく場所であって、べつにぼくの本なんかを文庫で置くようなところじゃないんですよ。にもかかわらず、それを人が借りる。それで図書館が回ってる。そういうのが利用の多い良い図書館と言われる。
これは誰が悪いかというと、まず蓮舫のような何でも数字で割り切る、日本は二番でいろというような漢民族が悪いんですが、次にはそんな図書館しか持てない市民が悪いんでしょう。文庫ぐらい自分で買いなさいと。少なくとも小説家になりたいという人は、図書館で本を借りるのはやめたほうがいい。本を買ってください。自分で自分の首を絞めるようなものですから。図書館の本なんて愛おしくないですよ。自分で買うから、本も愛おしく思えるし、自分で買った本だからこそ腹が立つんですよ。つまらない本を買っちゃったって。
図書館で本を借りるやつなんて、本気じゃないですよ。そういう自分でも買えるような文庫本を借りるやつは、本に対して本気じゃないんだと思う。本に対して本気じゃない人は、本気で小説なんか書けないと思います。