眠れる主権者
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眠れる主権者
リチャード・タック
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眠れる主権者 - 株式会社 勁草書房
『眠れる主権者 もう一つの民主主義思想史』
リチャード・タック 著
小島慎司・春山習・山本龍彦 監訳
主権と統治の区別の歴史と、民主主義思想の発展におけるその重要性を描き出す。法理論と政治思想史を統合する重要書、待望の邦訳。
主権者の権力は憲法の制定・改正と統治者の選任に限られており、日々の統治を担うのは統治者である。ボダン、ホッブズ、ルソーの政治思想に新たな解釈を与えることで、主権と統治の区分こそが近代における民主主義の基本的前提であることを明らかにし、主権が顕現すべき国民投票の歴史におけるアメリカ合衆国の重要性を主張する。
【原著】Richard Tuck, The Sleeping Sovereign: The Invention of Modern Democracy(Cambridge University Press, 2016)
あとがきたちよみ『眠れる主権者――もう一つの民主主義思想史』 – けいそうビブリオフィル
タイトルからもわかるとおり、本書の主題は主権論である。タックによる主張はシンプルなものであり、以下の二点に集約されると思われる。
第一に、主権者の権力は国家の統治全般に及ぶわけではなく、憲法に関する領域での決定権および統治者(政府)の選任に限られる。すなわち主権者と統治を行う政府の次元は明確に区別されるべきである。
第二に、統治者は主権者の選任を受け、一定期間、統治のほぼ全領域を司る。そして統治者(政府)が再び選任されるときがくるまで、原則として主権者はあらわれることはない。これが「眠れる主権者」の意味である。
そして、この主権と統治(政府)の区分こそが、古代ギリシャのような直接民主主義が現実的なものではなくなった近代におけるデモクラシーの基本的前提だという。また、驚くべきことに、この主権論は、ジャン・ボダンによって提唱されて以来、ホッブズからルソーへ、そしてさらには革命期のフランスや独立後のアメリカ大陸へと継承されたものであるとされるのである。
〈略〉
タックによれば、このボダンの主権―統治の区分論を近代におけるデモクラシーという文脈に位置づけて再生したのがホッブズとルソーに他ならない。
ホッブズは、当時ヨーロッパに広く影響を与えた『市民論』において、ボダンと同様に混合政体論を否定し、主権の所在を政体の基準とした。ボダンと明らかに異なるのは、ホッブズは、国家の起源は人民主権であり、君主政も貴族政もそこから移行したものであると考える点である。ここでいう「人民」とは、意思決定機関である会議体(convention)を備えたものであり、多数決によって単一の意思をもつ主体である。すなわち、ホッブズのいう人民とは、ばらばらの大衆ではなく、統一的な意思決定を前提としており、その意味で君主と互換可能な主体なのである。
ホッブズはこの人民を後継者のいない絶対君主にたとえている。この人民=君主は会議を開き、日常の統治を行う者を任命し、再びその後任を任命するときがくるまであらわれない。いわば「眠る」のである。本書のタイトルはホッブズが用いたこの比喩に由来している。もっとも、次にいつ会議を開くかを約束しない人民は、眠ったまま起きることのない君主と同様であり、それゆえに主権をもはやもたないことになる。こうして君主政や貴族政への移行が生じる。
眠れる主権者 : もう一つの民主主義思想史 | NDLサーチ | 国立国会図書館
眠れる主権者: もう一つの民主主義思想史 | リチャード・タック, 小島 慎司, 春山 習, 山本 龍彦 |本 | 通販 | Amazon
目次
序文
第一章 ジャン・ボダン
第二章 グロティウス、ホッブズ、プーフェンドルフ
第三章 一八世紀
第四章 アメリカ
結論
解題
原注
索引
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あとがきたちよみ『眠れる主権者――もう一つの民主主義思想史』 – けいそうビブリオフィル
タイトルからもわかるとおり、本書の主題は主権論である。タックによる主張はシンプルなものであり、以下の二点に集約されると思われる。第一に、主権者の権力は国家の統治全般に及ぶわけではなく、憲法に関する領域での決定権および統治者(政府)の選任に限られる。すなわち主権者と統治を行う政府の次元は明確に区別されるべきである。第二に、統治者は主権者の選任を受け、一定期間、統治のほぼ全領域を司る。そして統治者(政府)が再び選任されるときがくるまで、原則として主権者はあらわれることはない。これが「眠れる主権者」の意味である。そして、この主権と統治(政府)の区分こそが、古代ギリシャのような直接民主主義が現実的なものではなくなった近代におけるデモクラシーの基本的前提だという。また、驚くべきことに、この主権論は、ジャン・ボダンによって提唱されて以来、ホッブズからルソーへ、そしてさらには革命期のフランスや独立後のアメリカ大陸へと継承されたものであるとされるのである。