現在は過去の上に
現在は過去の上に
我々が生きる現在・未来は、過去の出来事を礎に成り立っています。壊滅したアイヌ文化のその先を見ることができぬように、絶滅したニホンオオカミの生態を二度と観ることができぬように、過去は現在を縛る枷といえるでしょう。 海外に留学中の身の上である私が、未だに靴を履いたまま他所の家に上がるのに抵抗を覚るのも、わざわざ日本から持ち込んだ愛用の電気機器を許容電圧の確認もせずに使用して爆発させたりするのも、これまでに経た過去の経験や環境を私が今も引きずって生きているからといえます。
我々の生きるこの世界を意識して見渡せば、人類の社会構造のほか、生きものや自然環境、いうなればこの世界そのものが、すべて過去の上に現在の姿を見せていることに気づくはずです。
私は創業家の3代目ですから、丸井がもともと家具の月賦販売の会社だったことを知っています。その後、耐久消費財の月賦百貨店を経て、若者のファッションをカードで売る会社に変わっただけです。ということは、「若者・ファッション・赤いカード」はほんの一時代のことであり、丸井の本質ではありません