減量手術はすべてのシステムを巻き込んでその作用を変えている
減量手術はすべてのシステムを巻き込んでその作用を変えている
減量手術が医療に導入された1960年代以降,医師たちはこれを主に機械的な治療だと考えてきた。胃が小さくなるので,あまり多くの食物は処理できなくなる。早く満腹するようになり,食べる量が減り,したがって体重が減るというわけだ。
この考え方は部分的に正しい。だが実はそれほど単純ではないことが現在ではわかっている。テレサが減量できたのは十中八九,腸と脳の間のコミュニケーションが劇的に変化したのが原因だ。この手術は新しい神経接続の形成を間接的に刺激し,食物に関するテレサの考えと欲求を変えたのだ。
近年の科学研究で,食欲と代謝,体重がおなかと脳の間の複雑な会話を通じて調節されていることが明らかになった。機械的な影響とホルモン,胆汁酸,さらには腸にいる微生物まですべてが,入り組んだ神経回路と相互作用している。減量手術はそれらすべてのシステムを巻き込んで,その作用を変えているらしい。
食欲と代謝,体重がおなかと脳の間の複雑な会話を通じて調節されている
機械的な影響とホルモン,胆汁酸,腸にいる微生物、すべてが,入り組んだ神経回路と相互作用している