幸せのための経済学
幸せのための経済学
岩波ジュニア新書〈知の航海〉シリーズ
地球上の資源は無限にあるわけではありません.今を生きる私たちは,限りある資源を偏りなくいかに分配するかということが問われています.「効率」「衡平」「公平」という考え方をカギに,人の福祉にとって望ましい社会のルール,経済システムのあり方について論じます.
経済のグローバル化,人口の高齢化,地球環境問題など,さまざまな課題を抱える現代社会.私たちは,このような社会をどのように生きていけばよいのでしょうか?
経済の目的とは,人間の福祉を高めるため,人々がより良い生を実現するため,という著者が,よりよい社会のために必要な社会経済システムのあり方について考えます.
厚生経済学
Welfare economics
キーワードは「効率」と「衡平」です.
効率
衡平
目次
はじめに
第1章 「経済」とは?
1-1 チリの鉱山落盤事故から
1-2 「経済」とは?
1-3 限りある資源の配分
1-4 人間の多様性
人間中心の見方
1-5 効率・衡平・公平
1-6 資源配分の評価
資源配分を順序付けよう
1-7 最善と改善
第2章 ひとの「福祉」とは?
2-1 「福祉」の意味と基準
well-being
2-2 モノ・サービスの量
財
2-3 国内総生産(GDP)
2-4 幸福・欲望充足――効用
幸福であること・欲望が満たされていること
2-5 選択論アプローチ
成し得ること・成り得ること
機能・潜在能力
2-6 選択論アプローチと福祉と個人間比較
2-7 機能
2-8 モノ・サービス、機能、効用の関係
2-9 幸福度と機能
2-10 機能ベクトルと等福祉曲線
2-11 潜在能力
選択の機会の豊かさ
2-12 情報の制約と福祉評価
2-13 想像上の立場の置換
2-14 基準値との比較
第3章 無駄のない経済システムとは?
「無駄」があるのはどんなときか?
無駄のない資源配分――パレート効率性
利害対立があるときには?
第4章 市場システムは効率的か?
価格による取引のメリット
競争的な市場で実現する資源配分の効率性
市場システムで効率性が達成されないケース
第5章 格差のない社会とは?
均等に分けること
つり合いが取れていること――衡平性
衡平な配分は存在するか
衡平性に基づく資源配分の順序付け
第6章 効率と衡平
衡平で効率的な資源配分は達成可能か
効率性基準と衡平性基準の対立
どちらの基準を優先させるか
マキシミン原理の考え方
終章 経済学がめざすこと
さらに学びたい人のための読書案内
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2021/8/3
冒頭、あざやかに描かれるのは2010/8/5のチリ、サンホセ鉱山の落盤事故からの33人の作業員の生還
この事件から福祉と経済の関係を紐解きます
それは絵空事としての経済学ではなくて生きている経済学
というふうに、一気に持っていかれる感じ