平和の経済的帰結
平和の経済的帰結
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〈本書の背景〉
1919年、経済学者にして官僚でもあるジョン・メイナード・ケインズは、 第一次世界大戦後のパリ講和会議にイギリス代表団の一員として参加した。
しかし、ドイツへの過剰な制裁を課す議論の方向性とヴェルサイユ条約の、あまりのひどさに絶望し、辞表をたたきつけて、即座に本書を書き上げた。
〈なぜ今、読むべきなのか〉
世界的なベストセラーとなり、ケインズの名を一躍押し上げた本作は、「ナチスの台頭」「第二次世界大戦開戦」を予言した書としても知られる。
目次
序文
第1章 序論
第2章 戦争前のヨーロッパ
Ⅰ 人口
Ⅱ 社会的まとまり
Ⅲ 社会心理
Ⅳ 旧世界と新世界の関係
第3章 会議
第4章 条約
Ⅰ 海外商業
Ⅱ 石炭と鉄鉱
Ⅲ 輸送と関税制度
第5章 賠償
Ⅰ 和平交渉に先立つ約束
Ⅱ 会議と条約の条件
Ⅲ ドイツの支払能力
Ⅳ 賠償委員会
Ⅴ ドイツの逆提案
第6章 条約後のヨーロッパ
第7章 修正案
Ⅰ 条約の改訂
Ⅱ 連合国側内部の負債整理
Ⅲ 国際融資
Ⅳ 中央ヨーロッパの対ロシア関係
訳者解説
Keyne's Peace というリンク
そろそろウクライナ戦争後の話も見据えねばならない。まず戦闘が止まる形がどうなるかわからないし、勝ち負けなしでどこかで膠着状態で終わる (朝鮮戦争のように) 可能性も高いが、そうでない可能性もある。その場合、どうなるか?ロシアに賠償させて復興費用ぜっぶおっかぶせて、というのをやりたくなるのは人情ではある。が、いまの国際的につながったグローバル社会では、相手が賠償のために財政黒字を捻出するには、輸入を止めねばならず、するとこちらからの輸出が止まってしまい、むしろこっちにとって害が大きくなるよ、というのはどうしても考えねばならないところ。その意味で、これを今見直しておくのは重要かもしれない。同時に、経済復興を重視したケインズ的な見方は甘く、ナチスの台頭をみすみす許してしまったという見方もある。もっと地政学的にドイツを封じ込めてつぶすべきだったのか? それをロシアに適用するとどういうことになるのか? 戦後のブレトンウッズ体制とグローバリズム拡大&サプライチェーンの伸張は適切だったのか? いま読むと、いろいろな論点が出てくる本だとは思う。 (2022.04.13)
2015/08/14
ケインズ「平和の経済的帰結」(pdf 1.2 Mb, 商業的に出そうなので公開停止)
2023/06/25 の時点では公開されていたので、「商業的に出そう」になったのは最近っぽい
2015/07/26
2020/08/30
2020/10/20
平和の経済的帰結(へいわのけいざいてききけつ、原題:The Economic Consequences of the Peace、1919年)はイギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズの著作。ケインズは第一次世界大戦後のパリ講和会議にイギリス大蔵省の代表として臨んだ。
ケインズはその著書の中で、より寛大な平和を主張した。それは正義や公正さを求めたからではなく、連合国を含むヨーロッパ全体の経済的幸福のためであった。ヴェルサイユ条約とその関連条約は、それを阻止するものであった。
この本は世界中でベストセラーとなり、条約は敗戦した中央同盟国、特にドイツをつぶすための「カルタゴの和平」であるという一般的な意見を確立するのに重要な役割を果たした。条約に反対し、国際連盟に加盟することに反対するアメリカの世論を固めるのに役立った。ドイツが不当な扱いを受けたというイギリス国民の多くの認識は、後のヒトラーに対する宥和政策への国民的支持の決定的な要因となった。 この本の成功により、ケインズは特に左派を中心に、一流の経済学者としての名声を確立した。1944年にケインズがブレトンウッズ体制を確立する中心人物となったとき、彼はヴェルサイユの教訓と大恐慌の教訓を思い出していた。第二次世界大戦後のヨーロッパを再建するために公布されたマーシャル・プランは、『平和の経済的帰結』の中でケインズが提案した制度に類似していた。
定価 22,000円!
本書は、第一次大戦後のパリ平和会議における対独賠償問題の取扱いを痛烈に弾劾、世論の転換に大きな役割を果たした名著。ケインズはイギリス大蔵省代表の地位を辞して僅か6ヵ月後に本書を公刊したが、論駁の書として本書の完成度の高さは驚嘆に値する。辛辣で洞察に富む人物描写、また事態の把握力とその表現力は、今日的迫真性を具えており、また「一般理論」に結実するケインズの経済問題に対するビジョンも、すでにはっきりと現れている。
概要
ヨーロッパの経済問題に深い関心を払うケインズが、第一次大戦後の苛酷で不条理な対独賠償要求とその帰結に警告を発しその是正を求めた義憤の書。当時11ヵ国で訳された。
目次
第一章 序論
第二章 戦前のヨーロッパ
第三章 金融
第四章 条約
第五章 賠償
第六章 条約後のヨーロッパ
第七章 救済策