太平洋のシャチの4つの生態型
太平洋のシャチの4つの生態型
太平洋のシャチは現在、3つの生態型に分類されている。海岸付近にすみ、サケなどの魚を食べる「Residents(レジデント:定住)型」、沖にすみ、同じく魚を食べる「Offshore(オフショア:沖合)型」、そして、哺乳類を食べることがわかっている唯一のシャチである「Transients(トランジェント:移動)」型だ。
Residents(レジデント:定住)型
Transients(トランジェント:移動)型
Offshore(オフショア:沖合)型
今回研究の対象となった個体49頭については、写真およびシャチ特有の背びれやサドルパッチ(シャチの背中にある灰色や白の模様)に基づく比較が行われたが、既知の個体と一致するものは一頭もいなかった。
これは、これらのシャチがトランジェント型のサブグループか、あるいは完全に独自の集団であることを意味するとマキネス氏は言う。
「Oceanics(オーシャニック:外洋)型」と名付けられたこの集団はまた、深海のみに生息する寄生生物のダルマザメによって付けられた傷や噛み跡があることからも、既知の集団とは別ものと判断できる。
Oceanics(オーシャニック:外洋)型
https://gyazo.com/a662225aac350d101423150ee06fcfc8
外洋に生息するシャチについての知識は限られている。なぜなら、広い範囲に分布する個体を船から見つけるのが難しいからだ。
それでも、今回の論文では、1977年から2021年の間に、海洋哺乳類研究者、漁師、観光客によって北太平洋で目撃された9つの事例が検討されている。
最初に記録された事例では、シャチの大きな群れが、おとなのメス9頭からなるマッコウクジラの群れを襲い、1頭を群れから引き離して殺すのに成功した様子を、研究者が目撃している。ほかの例でも、シャチの群れはゾウアザラシ、コマッコウ、ハナゴンドウ、オサガメなどを狩って食べていた。
こうした目撃例からの詳しい記録を頼りに、研究者らは地理参照マップに位置を記録し、水深を特定し、データベースにある写真を比較して、目撃された49頭のシャチが新しい生態型である可能性を突き止めた。
「シャチはおそらく、地球上で最も広く分布している脊椎動物です。彼らはあらゆる場所にいます」
「シャチは今日地球上に存在する最大の頂点捕食者です。恐竜が地球をうろついていた時代以降、これほど大きな捕食者はほかにいません」