呼吸が中枢神経系に及ぼす影響
呼吸が中枢神経系に及ぼす影響
横隔膜はただ「呼吸」をするだけのもの、という存在を遥かに超越しており、expectoration(去痰)、vomiting(嘔吐)、defecation(排便)、urination(排尿)、swallowing(嚥下)とphonation(発声)をも助ける役目を果たす。それだけではない、横隔膜は代謝バランスも司り2,3、静脈やリンパ液の流れを作り、食道と胃の境界を明確にすることで胃酸の逆流を防ぎ4、姿勢、ロコモーション、上肢の適切な動きに貢献もする4-6。横隔膜は感情や精神面にも影響を及ぼすし、無呼吸症候群は全身の痛覚閾値を上げ、患者は痛覚に鈍感になることも知られている。7-9 ここだけでもゆっくり3回は声に出して読んで愛でたい文章ですね。
横隔膜は血液の循環と頭蓋内圧にも影響を及ぼす、という観点から、呼吸と共に脳血流が変化すると頭蓋内圧が変わり、その際にaction potential(活動電位)が発生する
呼吸と共に一次運動野の活性も起こるので、健全な呼吸をする→健全な動きが実行できる、というところも繋がってくるかも。
さて、この論文は〆もまた素晴らしい。
呼吸にはパターンがある。人間の行動は適切なプランニングがあって生まれるもので、呼吸はその行動のひとつである。行動はヒトそのものを象徴するものであると考えれば、呼吸はヒトの本質を暴くものと言える。