向かい合うんじゃなくて、同じ方向を向く
向かい合うんじゃなくて、同じ方向を向く
グラフィックレコーディングをすると、まずみんなグラフィックが描かれている紙の方を向くんですよね。向かい合うんじゃなくて、同じ方向を向く空間がつくられる。そして、そこに自分たちの意見が集まっているという認識がうまれる。そうすると、「私」と「あなた」で話すのではなく、いったんグラフィックを介して話すようになる。そうすると、「I vs You」じゃなくて、「We & We」になれるんです。このあたりのメカニズムを、修士論文ではもう少し掘り下げていこうとしています。
もう一つは、テレビの仕事です。ある討論番組で、意見が対立する人たちが話し合う内容をグラフィックレコーディングしたんです。このときは、絵によって対立が深まりすぎることがあり、誤解も生まれるということがわかりました。けっきょくグラフィックレコードはお蔵入りになってしまって。
テレビ番組は、対立を演出しておもしろく見せるエンターテインメントだけれど、グラフィックレコーディングという手法は問題を解決に至らせようとしてしまう。だから、合わなかったんだと思います。この件で逆に、グラフィックレコーディングが持つ問題解決能力を実感することになりました。