個人の利益と社会の利益
個人の利益と社会の利益
新型コロナウイルスに対するワクチンが「有効」という場合、理論的にはつぎの5つの事態が考えらえる
①「有症状の疾患(すなわちCovid-19という疾患)」の発生率が減少する。
②有症状の疾患のなかでも、呼吸不全や集中治療室への入室を必要とするなどの「重症の疾患」の発生率が減少する。
③重症の疾患のなかでも、「患者の死亡」にいたる死亡率が減少する。
④有症状の疾患とは別に、「無症状のウイルス感染」の発生率が減少する。
⑤ワクチン接種を受けた人が、有症状であれ無症状であれ、本人以外の人たちを感染させる頻度が減少する。つまり、「他者への伝播(transmission)」の発生率が減少する。
新型コロナウイルスは、感染した本人が無症状のまま経過し、その間に他者に感染させる(伝播する)ことが、感染拡大の重要なルートになっている。その点を考慮すると、④や⑤に対するワクチンの有効性を明らかにすることが重要である
①②③は、ワクチン接種を受けた個人の利益におもに関連する指標だが
④⑤は、ワクチン接種を行う社会の利益に関連する指標ともいえる