休んでいるときの私はいつも、座ったまま何も考えずにできる何かをしたい
休んでいるときの私はいつも、座ったまま何も考えずにできる何かをしたい
休んでいるときの私はいつも、座ったまま何も考えずにできる何かをしたい、という誘惑に駆られる。余暇の過ごし方として米国で圧倒的に人気なのはテレビを見ることであり、ドイツや英国を含む他の地域でも同じだが、それも不思議ではない。
私たちが健康であるためには,運動をしなければならない。1日に1万歩以上歩かないと心血管疾患や代謝疾患のリスクが高まると言われている。
一方,チンパンジーなど近縁の大型類人猿は“怠惰”な生活を送っているにもかかわらず,驚くほど健康だ。彼らは日中の8〜10時間を休息とグルーミング,食事にあて,一晩に9〜10時間の睡眠を取るが,飼育下でも糖尿病にかかることはまれで,年齢とともに血圧が上がることもない。また,心臓病になることもなく,冠動脈閉塞による心臓発作も起こさない。さらに,ゴリラとオランウータンの平均体脂肪率は14〜23%,チンパンジーに至っては10%未満で,オリンピック選手と同等だ。 このような違いはどうして生じたのだろう。人類の生理機能が狩猟採集に必要とされる肉体的に活発な生活スタイルに適応したためだと著者は主張する。
身体を活発に動かしている人はより多くのカロリーを燃やしている,というのが旧来の見方だ。だが,肉体的にきつい生活を送っている昔ながらの狩猟採集民も便利な近代的生活をしている人々も,実際に消費しているカロリーは同じであることが示された。この意外な発見は,大きな脳など多くのエネルギーを消費する形質がどのように進化したのかに関していくつもの疑問を提起した。大型類人猿とエネルギー消費を比較した結果,ヒトはそうした形質を支えるために効率的な代謝の仕組みを進化させたことが浮かび上がってきた。スポーツジムで運動してもなかなかやせられないのは,この効率的な代謝のためなのかもしれない。