事物の本性について
事物の本性について
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人は事物の本性を知ることで迷信を逃れ、心の安定を得るべきである──。ローマ共和政末期の詩人・哲学者ルクレティウスの遺した唯一の著作である本書は、古代ギリシアの哲学者エピクロスの原子論的宇宙観を歌い上げた叙事詩である。万物を元素(アトム)の結合と運動から成るとし、気象などの自然現象から社会の進歩、さらには人間の感覚や恋愛に至るまでの森羅万象を説明しており、壮大なコスモロギアー(宇宙論)といえる。キケロから「才能の光」に充ちていると称賛され、古代ローマ最大の詩人ウェルギリウスにも大きな影響を与えるなど、ラテン語詩の水準を大きく引き上げた不朽の古典。
目次
事物の本性について──宇宙論
第一巻
第二巻
第三巻
第四巻
第五巻
第六巻
解説(藤沢令夫)
『事物の本性について』要約
索引
『事物の本性について』は、ローマ共和政末期の詩人で哲学者のルクレティウス(Titus Lucretius Carus, BC94c-BC55c)の哲学詩『De rerum natura』の文庫化。筑摩書房版『世界古典文学全集(21)ウェルギリウス/ルクレティウス』所収のルクレティウスの章を文庫化したもの。
世界古典文学全 第21巻
1965
アエネーイス(ウェルギリウス著 泉井久之助訳)
事物の本性について(ルクレティウス著 藤沢令夫,岩田義一訳)
解説 ウェルギリウス(泉井久之助)
ルクレティウス(藤沢令夫)
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凡例によれば、元々は『世界大思想全集 第1期(哲学・文芸思想篇)第3巻』(河出書房、1959年)所収の 田中美知太郎/岩田義一 訳「宇宙論」を、藤沢令夫さんが「諸般の事情が許す範囲で検討し、それにもとづいて岩田義一さんが新しく稿を改めた」もの。 世界大思想全集 第1期 第3 (哲学・文芸思想篇 第3)
1959
大カトー 一名老年について(キケロー著 呉茂一,重田綾子訳)
ラエリウス 一名友情について(キケロー著 長沢信寿訳)
宇宙論(ルクレチウス著 田中美知太郎,岩田義一訳)
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同書の既訳書は複数ありますが、現在も入手可能なのは『物の本質について』(樋口勝彦 訳、岩波文庫、1961年)のみでしたから、今回の文庫化は待望のものでした。