中古車を買う上で基準となるライン
中古車を買う上で基準となるライン
新車のすごいところは、すべてのパーツが新品っていうところ
S:ラジオとかで買い取り業者が「年式と走行距離を言ってもらえれば、だいたいの買取値段が分かります」っていってるけど、そうと限らないのはこの3台を見て分かると思う。
M:そうですね。ほんとに三車三様です。
S:売値だけの話をすれば、この3台はだいたいどれも似たり寄ったり100万円を境に±30万前後のクルマだけど、そもそもそのクルマを欲しい人がいるのかどうか。欲しい人がどういうものを求めているのかでも価値が変わってくる。
M:いわゆる人気車種なのかどうかも影響しますよね。
S:それに人によっても価値観は違う。たとえばトゥインゴ3を新車で買うと200万円ちょい。でも、8万kmを走った6年落ちのクルマがまだ100万円以上するって考えると、このトゥインゴは高いんじゃない? って思われても当然だよね。
M:新車で比較するとそうなりますよね。
S:だって新車で買ったら3年から5年は何の心配もないでしょ? すべてのパーツが新品で来るんだから。
M:そうですね。常々、スズキさんも言ってますが、新車のすごいところは、すべてのパーツが新品っていうところ。よく考えるとすごいことですよね。それが200万円ちょっとで買えるんだったら、わざわざ8万km走ったクルマを100万円以上出して買うか? っていう意見も分かります。
S:これが古いクルマなら仕方ないねってなるけど、それほど古いわけでもないからお買い得かと言われるとどうなんだろうって。
M:たしかに。
S:僕だったら予算130万円くらいでトゥインゴ乗りたいってお客さんに言われたらどう答えるか? それ、現金で払えるの? はい、払いますってことなら、足らない分を3年でローンを組んで新車買ったらほうがよっぽど幸せじゃない? って言うかもしれない。
M:ああ、なるほど。
S:ただね、そういう話をしても、うちのお客さんは乗りたいクルマに乗ることを道楽としているから。そこにお金がかかることは当然みたいな感じで麻痺しちゃってるから、僕も止めないんだけどね。乗りたいなら直して乗ればいいって言うしね。直さないで乗るのはどうかと思うけど。
普段乗るクルマ、何かあっても直せるような大衆車って、だいたい100万円前後
M:そうなると、ちゃんと整備がしてあって、車検も取って、3、4年は特に大きなことをしなくても乗れる中古車って、いくらくらいするんでしょうね?
S:むかしさ、カーマガジンの企画でやってた「100泥」ってのがあったでしょ?
M:あー、ありましたね。100万円で泥沼にはまる。
S:あれはいまでも通用すると思う。100万円はひとつのライン。
M:なるほど。
S:あの100泥はすごくマニアックなクルマとかも含まれちゃってるからアレだけど、普段乗るクルマ、何かあっても直せるような大衆車って、だいたい100万円前後なんだと思う。それ以下のクルマ、たとえば50万円以下のクルマはどこか問題があって、妥協したり、ガマンしたりしなきゃいかんクルマだと思う。
M:ふむふむ。
S:クルマ屋さんって大雑把に言って仕入れる費用、直す費用、利益という感じで値段を決めてるんだけど、それに加え、どれだけ手間がかかるのかによっても値段って変わってくる。サクサク売れるクルマなら安くてもいいけど、売れるまで半年、1年かかるクルマならそれ相応に利益がないとやれない。そういういろんな要素を鑑みて値段が決まっていくんだけど、そのひとつの基準として100万円っていうのはある程度信用できる値段だと思う。50万円以下はなんかあっても仕方ないという覚悟が必要。年式的には10年落ちくらいまでにしておきたい。
M:そう考えるとこの3台は年式も走行距離もバラバラだけど「ちゃんと乗れる状態にすること」を考えるとだいたい100万円±30万円の範囲に収まってくるってことですね。