一塁ベース、駆け抜けた方が速いか、ヘッドスライディングの方が速いか
一塁ベース、駆け抜けた方が速いか、ヘッドスライディングの方が速いか
野球における一塁ベースへの走法の検証 -駆け抜け動作とヘッドスライディング動作の比較
岡本直輝,山岡涼也
立命館大学スポ-ツ健康科学部
キーワード: 野球, ヘッドスライディング, 一塁ベ-ス, 駆け抜け
Ⅵ.結論
ホームベースから一塁ベースまで走る場合,一塁ベ-ス手前からの7m区間であるが,ヘッドスライディング動作タイムは駆け抜け動作タイムよりも短くなることが本研究結果から明らかとなった.またヘッドスライディング動作タイムの方が短い被験者は,ヘッドスライディング時に手を着く位置が一塁ベースに近くなる傾向を示した.個人差はあるが,ヘッドスライディング動作タイムは駆け抜け動作タイムよりも約0.04 秒(約 80cm)短くベースに到達することが可能であり,アウトかセーフかの一瞬を争う場面では,セーフになる可能性が大きくなると考える.勝敗を大きく左右する走塁において,ヘッドスライディング動作を行うことは重要な技術だと考える.
アンケ-ト結果から野球経験者は,ホームベースから一塁ベースまで走る際に,ヘッドスライディング動作を行うよりも駆け抜け動作の方が速いと考えている.この理由としては,「自分自身の経験,感覚から思う」,「指導者に指導されたから」といった理由が多かった.
本研究により,ヘッドスライディング動作を行うことは,傷害のリスクがある危険な動作であることから,ヘッドスライディング動作は行うべきではないと考えるのではなく,ヘッドスライディング技術を習得段階にある小学生や中学生にヘッドスライディング動作を丁寧に指導するべきであると考える.例えば上記に示したような移動ベース(離脱式ベ-スを含む)を用いて,理想的なヘッドスライディング動作の練習をすることによって,固定ベ-スになった際にも障害がおこりづらいようなフォームを習得し機動力あふれる野球が行えるのではないかと考える.