一人称が「僕」である女性
一人称が「僕」である女性
自分のことを「僕」と呼ぶ女の子が増えている印象がある。
同じマンションに住む娘の同級生や、他に学童で会う子など、体感としてはかなり多い。
それ自体はまったく問題なくて、男女問わず同じ呼び方、好きな呼び方をすれば良いと思う。
気になることがあるとすれば、大人は、男性でも自分のことを「私」と言うので、子供の頃に「僕」に寄せるより「私」に寄せた方があとあと切り替えコストがかからなくて楽かなと思うんだけど、んなこたぁ7歳の小学生にとっちゃ関係ないか。
2014
1)<父親(男性の養育者)が男の子の誕生を望んでいた。または、男の子が優遇されていたり一目置かれている立場の家庭で育った。>
2)<女の子らしくすることに抵抗がある。性別に囚われたくない。>
3)<宝塚の男性役のトップスターのような人に憧れている。または、身近にボーイッシュで格好良い人がいる。>
4)<持ち物からファッション、習い事と、様々な事柄において女の子らしさを養育者から押し付けられて来た為、「反発心から」自分のことを“僕”と呼ぶようになった。>
5)<照れ隠し。自分で自分を僕と呼ぶことで、自分とは別人格がやったことのように思えるから。>
心理学的なアプローチで5つのケースを示しているが、根拠となる原典が上げられていなかったので、信用性に問題があるのでは、と感じた
つまり「もっともらしいけど、それはオマエの意見では?」
ということでちょっと探した
「僕」の歴史
僕(ぼく)
主に男性が私的な場面で用いるが、フォーマルな場での使用も許容される。
男性の謙称であり、字義としては「僕(ボク)」は男の召し使いを指しており、女は「妾(ショウ)」を用いる。僕妾でしもべとめかけ、下男下女。
『古事記』において速須佐之男命(スサノオ)や因幡の白兎などがしばしば自分を「僕」と呼んでいるが、これは「あ」または「やつこ」と訓じられる。
平安時代頃からの文書では「やつがれ」と訓じられていた。
かつて「僕」は謙譲語としての敬意が非常に高かったが、武家教養層などの使用を経て、1860年代には謙譲性の低い語となっていった。
1863年、奇兵隊が自称として用いたことが知られている。
明治時代になって、書生などが愛用し、広く用いられる語となった。
以下、リンク
女性が使用する一人称「僕」について : ウェブ上の文章から(二〇〇八年度卒業論文要旨集)
2008
本研究では、プログ記事を調査資料とし、女性が使用する「僕」について「あたし」と比較しながら主に使用者の年齢層と話題の観点から調査・分析を行い、 使用傾向と理由を考察した。
使用者の年齢層に関しては、 年齢層調査の結果、「僕」を使用する年齢層は先行研究の指摘通り中高生が最も多いが、 先行研究の指摘よりも大学生・社会人の割合が高いことを指摘した。
これはブログという、書き言葉の、周囲からの注意を受けにくいという性質によるものであると考えられる。
話題の傾向に関しては、 頻出する話題を六種類に分け各類型の出現傾向及び使用者の年齢層を調査した。
「アニメ・ゲーム」「ヴィジュアル系アーティスト」に関する話題では「僕」を使用する傾向が中高生に強く、男性性への憧れの現れであると推測した。
また、女性に好まれるとされる「恋愛・結婚」に関する話題でも「僕」を使用する大学生・社会人が多くいることが分かった。
先行研究では「僕」は少女が使用するとされていたが、自らの少女性のアピールのために大人の女性も使用すると考えられる。
以上の考察により、女性が「僕」を使用する理由について、先行研究にない新たな理由を加えることができた。
2009~2010
教育学者の本田由紀が2009年 - 2010年に神奈川県の公立中学校の生徒を対象に行ったアンケート調査によると、一人称に「ボク」「オレ」を使用しているのはそれぞれ女子全体の1.2%・3.8%であり、「ジブン」も含めて男性一人称を使用している者は5.0%を占める
^ 本田由紀 『学校の「空気」 (若者の気分) 』岩波書店、2011年、61頁。ISBN 978-4000284516。
2011
自分をウチと呼ぶのは「普通」であることの表現?
本田 由紀(ほんだ ゆき、1964年(昭和39年)12月24日 - )は、日本の教育学者。博士(教育学)。東京大学大学院教育学研究科教授。専門は教育社会学、教育システムと他の社会システムとの関係およびその変化に関する実証的・理論的研究。学校教育と労働・就業問題を検討し、論じる。「ニート」という概念の曖昧さと問題点も指摘し批判。
2022/10/23
https://gyazo.com/11938288ce329dcbde33322ff75119dc
「性」という点でもう一つ面白い傾向が代名詞の分析で明らかになりました。こちらのグラフ(図表2)は、歌詞に含まれる一人称、二人称代名詞を年ごとに曲数で集計し、推移を波形にしたものです。
一人称、二人称代名詞の年次推移をみると、連動して動くペアがみえてきます。まず、ピンク色の「私」と「あなた」、次に緑色の「僕」と「君」、そして、グラフ下部で推移している青色の「俺」と「お前」です。
1980~90年代初頭までは「私」と「あなた」のペアが最も使われていましたが、1990年代後半になると「僕」と「君」のペアがトップの座を奪ったことがわかります。
「僕」という言葉は男性が使う一人称というイメージがありますが、実際に歌詞とアーティストをみてみると、男性アーティストだけでなく女性アーティストでも「僕」が使われていました。
図表2で「僕」「君」が増加し始める1990年代後半~2000年代にそれらの代名詞を使っていたのは宇多田ヒカルさん、浜崎あゆみさんなどでした。
その後2000年代後半~10年代にはAKB48さんや、乃木坂46さんなどの坂道グループの曲でも「僕」「君」がよく使われています。最近ではあいみょんさんやLiSAさんなどの曲でも「僕」「君」が使われていることは記憶に新しいのではないでしょうか。
現在、歌詞で使われる代名詞は「君」と「僕」にほぼ集約されていることから、近年のジェンダーレス化の波は、歌詞にも表れてきている、といえそうです。
2022/02/02?
博報堂 生活総研
昭和から令和のヒット曲 約4,100曲の歌詞を分析。さらにAIによる楽曲制作にトライしました。
本研究は1989年に発表した生活新聞「昭和ヒンド(頻度)ソング」のリバイバルリサーチです。
データ分析・記事執筆
佐藤るみこ|博報堂生活総合研究所
【サイト更新】
昭和から令和まで41年分のヒット約4100曲の歌詞分析からみえてきた言葉の変遷とは?
「私-あなた」から「僕-君」の時代へ
「抱く」が減少し、〇〇が増加
ほかにも時代を象徴する変化が明らかになりました。
生活者観察手法(エスノグラフィ)の視点でデジタルデータを分析する新手法、「デジノグラフィ」を推進中。
共著に『デジノグラフィ インサイト発見のためのビッグデータ分析』(共著・宣伝会議)
エスノグラフィの視点でデジタルデータを分析する
まとめ的な
2020年代の感覚としては、すでに「僕」は "I" 、「君」は "You" という意味にまで抽象化されたと言えるんじゃないか?
世代によっては「僕」「君」という語において、性差を全く意識していない可能性もある
女性であっても自分のことを考えるときに頭の中では「僕」って言っているかも、という意味で
それから「私」「あなた」という語は、すでに古典的な、もしくは、あまりに公的な、そういう雰囲気をまとっているのだと思う
私的な物言いのときには使えない、みたいな感じ
少なくともポップ・ミュージックでは使えないところまで来ている
共感を得ない
オッサンである自分の感覚としては、「僕」という語は "Youth" な雰囲気をまとっていて、いまさら使えねー、っていう感じがある
だからインターネットでは「自分」を使っている。古語的
よく「我々」を使っている。古語的。主語がデカイ
共感を得ない。全く
追記
2024-10-30
この前、仕事関係で頼まれて小学校にプログラミング教室の講師をやりに行ったんだけど、確かに、一人称が僕の女の子はいて、別に変わった子扱いされてる感じもなく普通だったな。