ロールズのカント的構成主義
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『正義論』は、20世紀の初めから50年以上停滞していた政治哲学・政治理論の分野を活気づけた。しかし、それだけが『正義論』革命なのではない。ロールズの政治・道徳理論は、そもそも道徳とは何で、どのようにそれに従いうるか、を考える道徳哲学・倫理学の分野にも再考をうながしたのである。「理由」にもとづく新しい倫理学とは何か。
倫理学における『正義論』革命の全貌。「反照的均衡」という方法論を軸とした『正義論』の衝撃は、現代政治理論にとどまらず、倫理学にもおよぶ巨大なものだった。 目次
序論 ロールズによる二つの革命
第一部 ロールズの公共的理性(理由)の哲学
第一章 倫理学における構成主義 ── ロールズによる展開とその一解釈 第二部 ロールズのメタ倫理学
第二章 価値言明と道徳的判断の分析──道徳(価値)的判断とは如何なる判断か
第一節 価値言明の分析:「善」についての考察の意味論的アプローチ
第二節 道徳的判断の客観性には如何にして確保されるのか
第三節 理由のホーリズム:十分な理由に基づくアプローチ
第三章 道徳的判断の正当化──道徳的判断の正当化は如何にして可能か
第一節 整合説と基礎付け主義
第二節 反照的均衡への挑戦
第三節 正当化の土台
第四章 道徳的存在論──道徳的事実とは如何なる事実であるのか
第一節 合理的な人生計画と「善」
第二節 道徳的な「善」と「正しさ」
第三節 「正しさ」という道徳的事実
第五章 道徳的心理学──我々は道徳的判断を行うことによって必ず行為へと動機付けられうるのか
第一節 道徳的判断と動機付け、および原初状態
第二節 十分な理由と行為の理由
第三節 CI手続きと市民の構想
結語 構成主義とは・再び
文献
あとがき
索引