メタバース

メタバース

現在、デジタルの世界は基本的に、行くすべてのレストランやバーごとに異なるIDカードを必要とし、異なる通貨があり、独自のドレスコードが要求され、独自のユニット(サービスと測定単位)を持っているかのように運営されています

メタバースが登場し、それが大きな問題であるなら、メタバースの実際の出所を注意深く検討する人は驚くほど少ない。その出所が、暴力と貧困に支配されて崩壊したアメリカを描いた重いディストピア小説であることを考えると、これは良いアイデアと思える。メタバースは、ニール・スティーヴンスンが1992年に発表した『スノウ・クラッシュ』で誕生した。メタバースは、文字通り企業フランチャイズに支配された、貧しく絶望的な国家の娯楽と経済的な裏方として機能している。

『スノウ・クラッシュ』の世界では、メタバースは特にクールなものではなく、現実世界があまりにも耐え難いものになってしまったために必要なものだと考えられている。

メタバースのアーキテクチャを現代のポップカルチャーに溢れた時代に合わせてアップデートした最も有名な作品『Ready Player One』も同様である。そのオアシスは基本的に、80年代の映画と00年代のビデオゲームで訓練されたニューラルネットによって書かれたメタバースである。

この本もまた、絶望した人々が不快な生活から逃れるために広大な仮想環境に追いやられるという、近未来のディストピアを舞台にしているが、世界が悪いからオアシスが人気なのか、オアシスが人気だから世界が悪いのかどちらかであることが示唆されている。これでは、会社の未来を築くには、おかしな分岐点になってしまう。それでも一時期、FacebookのOculus部門の新入社員には、必読書としてこの本が配られた。

「メタバースとは何か?」というのは、まさに今シーズンの問題です。8月の記事では、この言葉の由来を詳しく説明しました。それは、ニール・スティーヴンスンのビジョンと、それが将来にどのように適用されるかについてでした。今回の記事では、私が考えるメタバースの定義と、それがどのように市場に出てくるのか、そしてMicrosoftがこの機会に非常に適していると考える理由を説明します。

これがオチです。メタバースはすでに存在していて、それはたまたまインターネットと呼ばれているだけなのです。マシュー・ボールがメタバースを定義するのに使った7つの性質を考えてみて下さい。インターネットはそのすべてを満たします。

メタバースを定義する7つの性質とインターネット

1. インターネットは永続的である

2. インターネットは同期していてライブである

3. インターネットには同時ユーザ数の上限がなく、各ユーザに個別の「存在感」を与えることができる

4. インターネットは完全に機能する経済を持っている

5. インターネットは、デジタルと物理の世界、プライベートとパブリックのネットワーク/体験、オープンとクローズのプラットフォームの両方にまたがる体験である

6. インターネットは、データ、デジタルアイテム/アセット、コンテンツなどの前例のない(完全ではないが)相互運用性を提供する

7. インターネットには、非常に幅広い貢献者によって作成・運用された「コンテンツ」や「体験」が存在する

Matthew Ballが定義するメタバースの7要件

1. Persistent（永続的である）

2. Synchronous and live（同時性＆ライブ性）

3. No cap to concurrent participants（同時参加人数無制限）

4. Fully functioning economy（参加者によるモノの制作・保有・投資・売買などが可能）

5. Both digital & physical worlds（デジタルと物理、両方の世界にまたがる体験）

6. Unprecedented interoperability（今までにない相互運用性）

7. Wide range of contributors（数多くの企業／個人がコンテンツや体験を生み出す）

これらの指標のいずれにおいても、現在私たちが持っているものを凌駕するような壮大な涅槃の世界を創造している人は実際には見当たりません。インターネットがこれほどまでにオープンで相互運用可能なわけは、商業的な要請や政治的な監視のない世界で構築されたからです。今後の取り組みはすべて、利益を求める企業が主導し、統制を求める政府が規制することになり、その結果、どちらも中央集権化とロックインを招くことになります。暗号は逆の方向に進んでいますが、これはボールのリストにある性質の多くに依存したインターネットの産物であり、代替品ではありません。