マトヴェイエフのピリオダイゼーション
ロシア語圏におけるスポーツトレーニングのピリオダイゼーション理論の展開
On the Theory of Periodization of Sports Training in Russian-speaking Regions
日本大学 スポーツ科学部 青山亜紀
今日オリンピックは、 競技スポーツという枠 を超えその社会的・政治的意義の大きさは計り 知れないものがある. 2020年, 東京で2度目の オリンピックが開催されることで注目が集まる 我が国は, ひとつでも多くのメダルを獲得しな ければならないという重責を担うことになる. したがって, 開催国の威信にかけて「オリンピ ックでの最高の競技成績達成」という大きな目 標を達成するために周到な準備が必要となる. 旧ソ連の研究者マトヴェイエフ (MarBees, J 日) によって1960年代に体系化されたスポー ツトレーニングのピリオダイゼーション理論は, この世界的な一大イベントであるオリンピック におけるメダリスト輩出を目的とした, 国家に よるエリートスポーツ政策の一環として研究が 進められ, トレーニング現場で実践された. マ トヴェイエフ理論とも呼ばれるトップ選手のた めの最重要試合に向けたトレーニング計画立案 に関わるこのピリオダイゼーション理論は, 東 西冷戦時代 (1950年代以降) のオリンピックを 皮切りに大きな成果を上げたことから世界的に 広く認知されることとなり (村木, 1994, pp.24-38.), 後のコーチング学発展への契機と なる中核的な理論としての役割を担ったと考えられている
スポーツトレーニングのピリオダイゼーションの本質的意義
マトヴェイエフ理論に関する論争から
2020年6月21日
ピリオダイゼーション(単周期・二重周期・三重周期)
持久性競技における単周期の年間プラン
シングルサイクル
https://gyazo.com/2a0a9b0dd95672b7751207ae24c4b277
スピード・パワー系競技の二重周期の年間プラン
ダブルサイクル
https://gyazo.com/bd5a63eea279dc7667055c087a90023d
三重周期の年間プラン
トリプルサイクル
https://gyazo.com/026e0cba37403d47ec3c05a69d3d02c2
https://gyazo.com/78c8564b6ec5da43ff646f349885c7cd
【研究者紹介】競技スポーツにおける実践知の重要性を説く
スポーツ科学部 青山亜紀 教授
2020年02月26日
第二次大戦後、五輪での勝利を目的に始められた研究において、旧ソ連の研究者・マトヴェイエフは測定スポーツのトップ選手の膨大なデータに基づき、試合で良い成績を出すためには競技力が最高の状態になっていること、その状態は周期的なサイクルで発達することを見い出す。そしてこの状態を『スポーツフォーム』と名付け、発達周期に基づきトレーニングプロセスを準備期・試合期・移行期に期分けするピリオダイゼーション理論を体系化した。
「ピリオダイゼーションという言葉を知っていても、スポーツフォームの概念とその発達周期に基づいてトレーニング計画を立てる意味を知る人は少ないと言わざるを得ません。これが誤ったトレーニング計画を立てることにつながってしまいます」
約20年前、スポーツフォームの研究はほぼされていなかった。ロシア語に精通したスポーツ科学の研究者が少なく翻訳が困難であったこと、旧ソ連を中心とした東ヨーロッパがこの分野の最先端にあったため、歴史と共に埋没したことが主要因だという。マトヴェイエフ理論を正しく理解する者が減り、この理論は現代の競技スポーツに合わないと批判する者が増えた。このような風潮に警鐘を鳴らしたのがウクライナの研究者・プラトーノフだ。
「マトヴェイエフ理論を表面的に理解し、独自のピリオダイゼーションを展開する研究者は少なくありません。それに対し、プラトーノフ氏はマトヴェイエフ理論と他の理論を冷静に比較した上でマトヴェイエフ理論を進展させ、新たなピリオダイゼーション理論を提唱する、この分野の第一人者です」
ウラジミール・ミハイロヴィッチ・プラトーノフ
Платонов, Владимир Михайлович
ウクライナ
平成28年3月に開催された日本コーチング学会第27回大会 (日本大学) において講演いただいた, ウクライナ国立体育・スポーツ大学の V. M. プラトーノフ によるもので、 本学会のために寄稿された5本の論文
翻訳:青山亜紀
オリンピックスポーツにおける選手の年間準備構築の基礎
コーチング学研究
2020年 34 巻 1 号 1-13
発行日: 2020/10/20
公開日: 2021/05/27
多年準備システムにおける選手の選抜と育成
コーチング学研究
2020年 33 巻 2 号 121-126
発行日: 2020/03/20
公開日: 2020/06/11
選手の多年準備における現代のピリオダイゼーションシステム
コーチング学研究
2019年 33 巻 1 号 1-12
発行日: 2019/10/20
公開日: 2019/11/19
オリンピックスポーツにおける選手の多年準備構造の基礎
コーチング学研究
2019年 32 巻 2 号 145-158
発行日: 2019/03/20
公開日: 2019/09/02
アスリートの準備システムにおける専門的諸原則
コーチング学研究
2016年 30 巻 1 号 1-14
発行日: 2016/10/20
公開日: 2019/09/04
@taizooo: ピリオダイゼーションについて学習する(レクリエーション・ランナーがなにを言う) https://pbs.twimg.com/media/FWnvcQoVQAA9tcV.jpg
@taizooo: オレ、いま、プラトーノフのピリオダイゼーションについての論文を読んでるんだけど、「育成」と「成果」(つまり勝敗)のバランスについて考えさせられている https://pbs.twimg.com/media/FWtX-IYUsAAbQbe.jpg
@taizooo: その2つは相反する。理論上、その両方を求めることは出来ない。 @taizooo: そしてこの取り組みは1シーズン(1年間)とか、1ヶ月とか、1週間とかそういった短いプロセスではなくて、何年にもわたる多年次的なプロセスになると @taizooo: 応援しているサッカーチームのことを考えてました。自分のやっていることだけじゃなくて