フランス語版「資本論」
フランス語版「資本論」
さて、カール・マルクスの主著『資本論』である。原著ドイツ語版の『資本論』( Das Kapital ) は、第1巻の出版が1867年、第2巻が1885年、第3巻が1894年である。書誌学者ウローエヴァ ( Анна Васильевна Уроева ) の『不滅の資本論』によれば、19世紀中に出版されたフランス語版『資本論』は第1巻のみであった。 この版の翻訳者はジョセフ・ロア ( M.J. Roy )、出版者はモリス・ラシャトル ( Maurice Lachatre, 1814-1900 )、印刷所はラユール ( Typographie Lahure )。翻訳の校正はマルクス本人が担当し、そのためフランス語版は、底本のドイツ語第2版の草稿とは異なる内容及び構成を持つ『資本論』に仕上がることとなった。結果的にフランス語版『資本論』は『資本論』研究に欠かせない存在となっている。 マルクス、フランス語もいけたと
・『マルクス・エンゲルス全集』第23第1分冊,大月書店,1965.9(363.3/3/23(1))
『資本論』第1部が収録されており、「第一版序文」、「フランス語版への序文」、「英語版への序文」が掲載されている。「フランス語版への序文」はマルクスからモリス・ラ・シャトルへ宛てた手紙である。また、同資料中のエンゲルスによる「第4版へ」の中では、セドリー・テーラーと署名された手紙の引用文が掲載されている。
・『フランス語版資本論』上巻,法政大学出版,1979.3(331.3/229/1)
序文に当たる部分に、マルクスからモーリス・ラシャトルへ宛てた手紙と、その返信が掲載されている。