ヒトの社会性は身体に根差す
ヒトの社会性は身体に根差す
私たちは、「お腹が空いた」、「心臓がドキドキする」、「胃がムカムカする」など、身体の中の感覚を感じて日常を過ごしています。このような身体の中の感覚を「内受容感覚」と呼びます。内受容感覚には個人差があり、身体の中の感覚に気づきやすい人から、気づきにくい人までいることがわかっています。
内受容感覚
内受容感覚にはどのような役割があるのでしょうか。これまでの研究によって、内受容感覚に鈍感である人は、嬉しい、悲しいなど自分の感情に気づきにくいことが示唆されています。このことから近年では、内受容感覚の敏感さと、自分ではなく他人の感情などの認識力との関連についても、研究者の関心が高まっています。
内受容感覚の敏感さは、自分の感情の認識力と関係があることがわかっている
内受容感覚の敏感さは、他人の感情の認識力と関係がある?
一方で、他人と動きや表情が自動的に伝染するような「自動模倣」の現象(たとえば、他人の笑顔につられて笑うこと)は、他者への共感などに深く関わると考えられてきました。また、自動模倣の現象は、相手と目を合わせ る(アイコンタクトをとる)ことで生じやすくなることも知られており、アイコンタクトは対人関係における重要なシグナルであるといえます。しかし、内受容感覚の個人差が、表情の自動的な模倣やアイコンタクトの影響力とどのように関連するのか、という点についてはわかっていませんでした。
自動模倣の現象は他者への共感に深く関わる
自動模倣の現象はアイコンタクトで生じやすくなる
アイコンタクトは対人関係における重要なシグナル
内受容感覚の個人差が自動模倣、アイコンタクトの影響力とどのように関連するか?
このような背景から私たちの研究グループでは、内受容感覚の敏感さと、他人の表情に対する自動的な表情模倣の関連を調べました。これにより、社会性に関わる表情模倣が、内受容感覚という身体の中の感覚への気づきやすさを基盤とする可能性、つまり、「ヒトの社会性が身体に根差す」という仮説を検証しました。
仮説の検証
社会性に関わる表情模倣が、内受容感覚という身体の中の感覚への気づきやすさを基盤とする可能性?
ヒトの社会性は身体に根差す