ノブレス・オブリージュ
ノブレス・オブリージュ
ノブレス・オブリージュ(仏: noblesse oblige フランス語: nɔblɛs ɔbliʒ)とは、直訳すると「高貴さは(義務を)強制する」を意味し、一般的に財産、権力、社会的地位の保持には義務が伴うことを指す。
「神から選ばれる」とは具体的にどういうことか。神はある人を選んで、特別の「才能」を授けます。「才能」に当たる最も普通の英語は<gift>ですが、「ギフト」はもちろん「贈り物」でもあります。フランス語では<don>が、ドイツ語では<Gabe>が、やはり「プレゼント」の意味でも、「才能」の意味でも使われます。つまり人間がある才能を有する、ということは、神から特別に「贈り物」を頂戴したことにほかならないのです。その結果、その人は、その才能の点で、衆に抜きんでることになる。それだけのことですが、神は、その才能を自分と人々のために使うことを期待して、彼(女)に才能を贈ったのですから、贈られた側は、それだけの義務と責任が生じます。それが<Noblesse oblige>ということでもあります(このフランス語は、「高貴なる者の義務」のように、熟語として解されることが多いのですが、本来は「高貴なる者には、それなりの義務を課される」という一つの文章です)。つまり、エリートとは、普通の人々よりも、より多くの、より大きな、義務と責任を背負った人間であることになります。
人間がある才能を有する、ということは、神から特別に「贈り物」を頂戴したことにほかならない
神は、その才能を自分と人々のために使うことを期待して、彼(女)に才能を贈った
贈られた側は、それだけの義務と責任が生じる
エリートとは、普通の人々よりも、より多くの、より大きな、義務と責任を背負った人間である
かつて、イギリスのオクスフォーディアン(オクスフォード大学の出身者)の平均余命は、普通の人々よりも有意に短い、ということを示す統計があった、と言われます。オクスフォード大学を了えるには、衆に優れた才能が必須であって、彼らは、イギリスでは明らかに「エリート」に属するわけですが、その平均余命の短さは、彼らが率先して危険な業務(特に軍務)に身を挺する結果であることの証左であった、と伝えられます。少し意味は違いますが、日本でも、戦前、男性皇族はよほどの問題が無い限り、軍務に就くことが義務とされていたことを思い出します。例えば、昭和時代の直宮である大正天皇のご子息たちを考えても、昭和天皇ご自身、三笠宮、秩父宮はお三方とも陸軍、高松宮のみは海軍の軍人でした。