ニューロンの性差をつくる仕組み
ニューロンの性差をつくる仕組み
女は男を好きになり、男は女を好きになる、これが一番月並みな恋愛のかたちですが、同性を好きになる人も少なからずいます。また、自分のからだの性別が、気持ちのうえでの性と違っていると感じる人も珍しくありません。これは、「肉体の性」とは区別できる「心の性」があることを暗示していると思います。
ならば、心の住処はどこかと問えば、それは脳です。脳も確かに肉体の一部ではありますが、筋肉や生殖器とはどうも違った存在であるといえそうです。ヒトの脳に性差があることは半世紀前から言われていますが、この臓器、あまりに複雑で未だその実体は謎です。
脳はもちろん、ヒトの専売特許ではありません。私たちの身の回りにいる多くの動物たちが脳を持ち、雌雄が愛を育んで子孫を残していきます。ならば、彼らにも性の悩みはつきもののはず。
私たちは今から30年あまり前に、この問題に迫るうえで絶好の研究対象を手にしました。ショウジョウバエの「サトリ」と名付けた突然変異体です。