ジム・オルークがインタビューで語っていた戸惑いについて
ジム・オルークがインタビューで語っていた戸惑いについて
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本当にそういう文脈でジム・オルークがそういう話をしていたのか、を確認するため
なぜそんなことをするのかというと、ジム・オルークの音楽と、そういう物言いが繋がらなかったから
とかいうともっともらしいけど
たんに違和感
ジム・オルークと石橋英子
https://gyazo.com/e4f627affc5d04d0283d28eb7a917737
リレーションシップ
デモグラフィック
文脈が少し消えた
原:ジムさんは覚えているかわかんないんですけど、昔、坂田明さんとジムさんが対談をして僕が司会したことがありました。2007年、坂田さんの『ズボンで』をジムさんがプロデュースしたときです。そこでジムさんが言ってたことがいまも印象に残っているんです。
インターネットがメインになって、みんなデモグラフィック(※)になっていって、自由で壁がなくなっちゃったけど、それはあんまりいいことじゃない、と。あとみんなコミュニティやコミュニケーションが大事って言うけど、必ずしもそれが音楽で一番のことじゃないっていう話も。それといまの即興についての話って、ちょっと重なるところがあるなと思うんです。
※編注:マーケティング用語で、主に顧客の年齢、性別、年収、学歴、宗教、職業といったさまざまな経済的データのことを指す。これらの人口統計学的な属性をもとに市場を分類し、マーケティングのターゲットを明確にするための指標とする
原:いまってあの頃よりもさらにデモグラフィックなこと、コミュニティを大事にすることって強くなっていて、それがフェスやイベントの基盤になってたりするところもある。ジムさんはいまどう考えますか。
ジム:あのときからもちろん世界が変わったけど、いまは私が世界のことが少しわからない。いまの新しい若いお客さんにあまり会ってない。私にとって彼らはほとんど抽象的な存在。
少し変なのは、何でも聴きたければ、読みたければ、見たければ、簡単にリーチできるようになったけど、文脈が少し消えたと思う。文脈がなければ、それからどこに続いていくのかがわからない。
たとえばミュージシャンでも、この音楽は歴史的にこういうところから影響を受け取って、この人の影響を受け取って、この人に影響を与えてって、そういう地図みたいなものがなければ、もう自分の道を見つけることは難しい。
ジム:さっきの即興の話とも重なるのは、実はいまほとんどのお客さんがだんだん文脈なしで聴く。彼らが音楽と一緒に……ちょっと待って英語でも忘れた。「関係」じゃない……。
石橋:相互作用、相互的な関係がない?
ジム:はいはい。そういう関係がいまあまりないと思う。私が感じるニュアンスは、いまのお客さんは受け取るだけがほとんど。でも、これは本当に変な話。いまは昔に比べて自分の音楽つくるのは本当に簡単。インターネットでソフトをダウンロードすればいい。でも音楽をもっと探す、もっともっと聴くことをしない。自分でつくる、それが彼らの反応。
石橋:プレイリストをつくったり、私はこういうものを聴いてるってことを簡単に発信できる時代になったけど、それはあまり音楽そのものと実は関係がなくなってるという気がします。
―SNSやストリーミングサービスによって、リスナーと音楽の関係性は近くなったようにも見えますけど、おふたりはそうではないんじゃないかと考えている。
ジム:でもそれは世界の話、日本だけの話じゃない。インターネットを見てると、「私がつくった新しいの、すごくいい」と言っている若い人がいる。そうやって自分のことを褒めるの、少し恥ずかしい(苦笑)。そういう行動をよく見かける。少し変と思う。でもいまは逆に本当に音楽とのリレーションシップをあんまり見ない。
石橋:音楽家がつくった状況でもありますよね。音楽家が音楽を簡単につくれてしまうことも影響してると思うんですよね。
―おふたりの話を整理すると、「音楽とのリレーションシップ」をリスナーが築きにくくなっている背景には、どんな音楽、どんな先人から影響を受け取ったのかという「地図」がない、そういった「文脈」が意識されない音楽がつくられることも関係しているのではないか、と。
ジム:でも、私があんまり世界と接していないので、それは私のひとつの見方。私の若いときを思い出すと、「この人は誰と一緒にやったのか」を調べたりしていたけど、「好きなものはもっともっともっと聴きたい」っていうエナジーはいまあまり見えてこない。
それで原さんの質問に答えると、たぶん昔の話より意見があまり変わってないけど、状況が変わったのは間違いない。もうどういう状態になったのかわからない。ほとんどわざと私が「はい、バイバイ」ってやったので(笑)。
本質はちょっと違うところにある気がする
「音楽とのリレーションシップ」を築くことが出来ているならば簡単に「私がつくった新しいの、すごくいい」とは言えない、という話
これは音楽家(音楽を作る人たち)サイドの話な気がする
この人は、なにかの作品や出来事に対してなにか言及すること、批評というか、言葉の話をしていて
ジム・オルークは音楽を作る人の姿勢の話をしている
それが聴く人たちの姿勢にも影響するんだ、このような世界を作り出している責任は自分たち(音楽を作る人)にあるんだ、と言っている
「音楽とのリレーションシップ」を取り戻すために何が必要か
―逆に言うと、ジムさんは「地図」と言っていましたが、音楽の歴史のなかで自分の作品や自分の存在を俯瞰する視点を持つこと、受け取ったものを還元するような音楽家の姿勢、文化的なサイクルが重要なんだということですよね。
ジム:これは、少しおじさんの話になる(笑)。まずはひとつの問題は、私が若いとき大好きだった現代音楽、即興、電子音楽、それ本当にアングラの音楽だった。ポップスの世界とは本当に関係ない。
でもいまは「ジャンル」になった。昔は若い人が「私、ガレージバンドやろう!」って言ってたけど、いまは「電子音楽やろう!」っていう別のオプションがある。
電子音楽をやってる若い人が自分のレコードで出すときに、「今日は私を新しいレコードを出す。いままでで私のベスト。I'm really proud of this one!!」って言う。自分に関してそういう話ができるのは本当にわからない。「本当に?!」って(笑)。謙虚さが本当にゼロじゃないか、恥ずかしくないかと思うのは、たぶん私が厳しいアイルランド人の育ちだから。
「今日は私を新しいレコードを出す。いままでで私のベスト。I'm really proud of this one!!」
謙虚さが本当にゼロじゃないか、恥ずかしくないか?
「いまの世界で本当に批評が大事」
ジム:うん。でもたぶん、いまの世界の影響もある。「批判はダメ」のニュアンスがある、いまの世界。批判は悪いものじゃない。でもいまはSNSで、人はあまり批判上手じゃない。いいか、反対だけ。
石橋:SNSだと短い文章で書くから「批評」ではなく、ただ褒めてたり、非難になったりしがちってことですよね。
ジム:たぶん原さんはよくわかってると思うけど、だんだん評論家の代わりにリポーターだけになってる。いまは雑誌と新聞は本当の評論家はいない。コンテンツリポーターだけ。たぶん原さんはすごいフラストレーションが昔からあるでしょう。
原:あります。紹介をする部分ももちろん必要なんですが、批評はジムさんのいう文脈の蓄積と、それをどう見ている、聴いているかという視点が必要で、そこが抜け落ちていることは多々ありますね。
ジム:私の仕事に関して、たとえばマスタリングエンジニア。私はエンジニアじゃない。でもときどき友達のためにやる。昔は本当にちゃんと勉強して、練習してやらなければなれなかったのが、でもいまはマスタリングエンジニアソフトを買って「私、マスタリングエンジニアです!」って言う。それと少し同じ(笑)。
石橋:それはミュージシャンに限らず、どのジャンル、分野でも同じようなところがありますよね。
ジム:そういうわけで、ちゃんといまの世界で本当に批評が大事。
いまはSNSで、人はあまり批判上手じゃない
良い/悪い、賛成/反対、だけ
本当の評論家はいない。コンテンツリポーターだけになってる
そういうわけで、ちゃんといまの世界で本当に批評が大事
お気持ち表明しておくと
リスナーは、ジム・オルークが思い描いているリレーションシップとは異なるリレーションシップを構築しているのだ、みたいな雰囲気があると思う
ということで、
ジム・オルークのリレーションシップの話(音楽家サイドの違和感の話)を
twitter で藤倉大サンが話していた話(リスナーサイドの希望の話)に繋げたい
繋がってるかわからんけど
デモグラフィック、サイコグラフィック
人口統計学(じんこうとうけいがく、英: demography, population statistics)は、人口を統計学的に検討する学問分野である。人口の変化や増減・人の出生(出生率)や死亡(死亡率)・余命、性別や年齢などの構成・人口密度・属性・地域間や国家間の移動の動向などを研究対象とする。
デモグラフィーに似た言葉としてデモグラフィックス (英: demographics) やデモグラフィックがある。人口を構成する各個人は、性別、年齢、住所、所得、職業、学歴、世帯構成などの社会経済的な属性データを持っている。デモグラフィックスとは、これらの属性データを指し、マーケティングにおいて純粋な人口数のような人口統計と結びつけて精度の高いマーケティングを行うことに用いられる。
サイコグラフィックとは、デモグラフィックと同じように、購買者を分類する切り口の種類の1つです。デモグラフィックデータには、性別、年齢、収入、独身/既婚など、事実関係を表すデータが該当するのに対し、サイコグラフィックデータには、購買者の習慣、趣味、嗜好、価値観などが該当します。別の表現で言えば、「誰が」買うのかを表すのがデモグラフィック、「なぜ」買うのかを表すのがサイコグラフィック、ということです。
サイコグラフィック (英: psychographics)は、心理的属性に関する人間の特性を説明するために使用される定性的な方法論である。サイコグラフィックは、人格、価値観、意見、態度、興味、ライフスタイルの研究に適用されてきた。 この分野の研究は活動、興味、意見に焦点を合わせているため、サイコグラフィック要因は「AIO変数」と省略されることがある。